第36話 マネーカード
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8月10日
長い夏休みも中程といった所で宿題に手をつけないといけないと思うのだが
まあ、なんとかなるだろうと考えてしまう日にちでもある。
その頃から学園都市では奇妙なバラマキ事件が起き始めていた。
事件というには、ややお袈裟だが『マネーカード』が人目に付かない所に封筒に入れられて隠すように捨てられていた。
カードの金額はまちまちで
下は千円から
上は五万円にまで昇るため
小遣い稼ぎの名目で探しで路地裏をうろつく人が急増し、マネーカード絡みでトラブルに巻き込まれるという事態にまで発展している。
風紀を取り仕切るジャッジメントも日に日に通報や相談を受け、本格的に調査へと乗り出していた。
「今48件......あ56件に増えてる。ネコババしている人の分を考えると報告の数倍の数ばらまかれていると思います」
「そんな話、私聞いてませんわよ?」
買い物に出掛けていた御坂と白井は、近道をしようと、普段では通らない路地裏に入った所、封筒に入っているマネーカードを見つけた。
見つけたマネーカードをそのままにしておくことはできないため、ジャッジメント本部に行き、初春に相談しに来ていた。
御坂はあまり長居することなく、別段興味も無かったので黒子と分かれて、用事を済ませに出て行ってしまった。
「貨幣を故意に遺棄?破損する事は禁止されていますがマネーカードは対象外ですので、特に通達はしてません」
「そうですの。物好きな輩がいるものですわね」
白井はインスタントコーヒーを淹れると複雑やら理解できないやらの顔を自分と初春の机に置いた。
「あ、ありがとうございます。そうですよね。余程のお金持ちじゃないとできませんよね」
「動機も想像できませんし、お金捨てたい病の方ですわね」
「お金捨てたい病って......」
マグカップに注がれたコーヒーを初春も手に取って、口を付けた。
湯気がユタユタと流れていき、程よいコーヒーの香りがする。
「でも、落ちていたってことですよね。私達にもほんの少しだけでも謝礼って......」
「出るわけないですわよ」
「ううう......この時だけ一般の人が羨ましいです」
初春ががっくりと肩を落とした。
ジャッジメントは基本的には無報酬。
白井もお湯を注いだコーヒーを口に流し込んだ。
すると
窓をコンコンとノックする音が聞こえて、コーヒーに口を付けながら、目線だけを窓の方に向けると、サソリが逆さまになりながら窓をノックしていた。
ぶぅぅー!
白井は威勢良くコーヒーを口から吐き出すと気道に入ったらしくむせた。
「し、白井さん!?」
「ゲホゲホ!ざ、ざぞが」
「ざぞ?」
白井が頭をもたげて、むせている中で指を差した。
初春が差された場所を見る。
「
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