第六章
[8]前話
「あれがトゥアレグ族の人の服だ」
「綺麗な色の服ですね」
「鮮やかな青で」
「砂漠にも映えますね」
「いい青です」
「あの服はガンドゥーラというんだ」
権田原は服の名前から話した。
「そしてターバンはシュシュというんだ」
「へえ、そうした名前ですか」
「ガンドゥーラにシュシュ」
「そういうんですね」
「あの青はサヘルの方の植物の色だ」
その植物を染料にしているというのだ。
「サハラの南の方のな」
「サヘルのですか」
「あそこの植物で染めて、ですか」
「あの青ですか」
「そうなるんですか」
「ああ、そうなんだよ」
実際にというのだ。
「ああした青にな」
「あの奇麗な青はあっちの植物から出ますか」
「何か不思議ですね」
「あんな奇麗な青が砂漠にあるなんて」
「思いも寄りませんでした」
「あの青からあの人達は青の民と呼ばれるんだ」
トゥアレグ族、彼等はというのだ。
「そうな」
「そうですか、青の民ですか」
「いい名前ですね」
「あの青だとそうも呼ばれますね」
「納得しますね」
「そうだな、それでな」
さらに言う権田原だった。
「そのトゥアレグ族の人とも会えたしな」
「正確に言うとすれ違っただけですけれど」
「それでも奇麗な青を見られましたね」
「オアシスの青にも負けない位の青を」
スタッフ達もその権田原に笑顔で応える。
「服でもいいものを見られました」
「じゃああらためてですね」
「出発しますか」
「そうしましょう」
「あと少し砂漠の海を泳ごう」
権田原はスタッフ達に笑顔で言った。
「そして日本に帰って思いきり風呂に入って水を飲むか」
「ええ、それを楽しみにして」
「それで残りの調査もしましょう」
「帰ったら果物もありますし」
「何もかも楽しみにして行きましょう」
スタッフ達も笑顔で応える、会えないと思っていた人にも会えて彼等は満足していた。そのうえで意気揚々と街を出て調査に出発した。砂の海のそれに。
トゥアレグ 完
2016・5・26
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