第一章
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ガンドゥーラ
サハラ砂漠は広い、あまりにも広い。何と広大なアフリカ大陸の三分の一を占めている。
そのサハラ砂漠のど真ん中を歩きながらだ、日本から来た彼等は首を傾げさせていた。
「ここはまだリビアか」
「そうみたいだがな」
「何か何処がどの国かわからないな」
「わかりにくいな」
「国境線があってもな」
地図と方位磁針を手にして話していた。
「話は聞いていたがな」
「サハラ砂漠はかなりだな」
「広いなんてものじゃないぞ」
「しかも何処が何処か区別がつかない」
「本当に砂の海だな」
「何もない場所だよ」
「そうだ、だからな」
砂漠での調査の時の服、大戦中のドイツ軍北アフリカ派遣軍の様な格好をした彼等の中で最も年配の灰色の口髭の男がその彼等に言った。
「ここに来たら注意しろと言ったな」
「はい、教授はここに何度も来てるからですね」
「調査で」
「今回みたいに」
「これで五度目だ」
サハラ砂漠に来たことはとだ、権田原靖典は答えた。大学で生物学の教授をしていて今回はスタッフを連れて現地調査をしているのだ。
その砂漠の中でだ、彼はスタッフ達に言った。
「最初はわしも君達と同じことを思った」
「ですか、私達みたいに」
「広過ぎるって思ったんですね」
「何処が何処かわからない」
「砂漠の海だって」
「ああ、何だここはって思った」
実際にというのだ。
「迷うと死ぬなってな」
「実際に迷うと死にますよね、ここ」
「そうした話も多いですし」
「昼はこうして暑いし夜は凍死する位寒いし」
「大変な場所ですからね」
「だからテントも持ってきているんだ」
連れて来ている駱駝達の背中にある、駱駝もいるせいか彼等は砂漠のキャラバンにも見える。
「寝袋もな」
「それが砂漠ですね」
「昼はこんなに暑いっていうのに」
日差しが強い、空気は乾燥しているが雲一つない日差しが彼等の上から差し込めている。
「夜は無茶苦茶寒くて」
「それで困りますよね」
「冗談抜きに凍死しますから」
「そのことも実感したよ」
権田原は遠い目になって語った。
「最初にここに来た時は」
「そうでしたか」
「教授も最初はそうだったんですね」
「ここは何だって思って」
「この気候に辟易したんですね」
「ああ、それで調査だがな」
権田原は彼等がサハラ砂漠に来た目的のことも話した。
「まあ生物はな」
「あまりいない場所ですよね、どうしても」
「蛇とか蠍とかですね」
「そうしたやばい生きものはいるけれど」
「他の生きものはあまりいませんね」
「いることはいてもな」
それでもというのだ。
「他の地域とはかなり違うからな」
「砂漠地帯自体がですよね」
「それで
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