第三章
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「カリフが死ぬまで」
「だからか」
「ああ、そうだよ」
それでというのだ。
「黒人だろうがムスリムならな」
「ジュラバを着てもいいか」
「御前の奥さんが黒人でもな」
「そうなるか、じゃあ俺も買うか」
「そうしたらいいさ」
喫茶店でこうしたことも話してだった、そのうえで。
二人はそのジュラバを買いに服屋に言った、すると服屋の親父は二人に対して強い声で言ったのだった。
「最近は洋服ばかり売れてね」
「ジュラバはか」
「さっぱりか」
「そうだよ、そう言うあんた達にしろな」
親父は二人の服を見て言った、見れば二人共半袖のシャツにスラックスだ。
「洋服だろ」
「それを言うとな」
「そうだな」
「実際にな」
「俺達もあっちの服だな」
「だからな」
それでというのだ。
「もうジュラバなんてだよ」
「売れないか」
「そうなんだな」
「滅多にな、けれどあるからな」
そのジュラバがというのだ。
「買いたいなら売るな」
「よし、じゃあな」
「売ってくれ」
「女房と娘達に買ってやる」
「俺もだ」
二人はここで買う服の数とそれぞれのサイズ、それに色まで指定して買った。そのうえでそれぞれの家に帰った。
それからだ、モサーネドは自分の家に帰ってだった。妻と娘達に言った。
「服買ってきたぞ」
「ホットパンツ?有り難う」
「じゃあ着させてもらうわね」
娘達は服と聞いて笑顔で言う、だが。
彼は娘達、そして娘達と共にいる自分の妻にこう言った。
「いや、ジュラバだよ」
「えっ、ジュラバ!?」
「そんなの買ってきたの?」
二人共どうした服かは知っていたが顔を曇らせて言葉を返した。
「私そんな服着ないわよ」
「私もよ」
「私だって」
妻も言う、もう四十だが顔もスタイルも整っていてまだまだ奇麗であるが曇った顔はモサーネドから見ていいものではなかった。
「ジュラバはね」
「着ないんだな」
「そうよ、今更」
「まあそう言ってもな」
それでもというのだ。
「晴れの時位は着るだろ」
「だからなの」
「取っておけっていうの」
「ああ、そうしろ」
あらためてだ、娘達に言った。
「別に持っていても困らないだろ」
「まあ服だから」
「幾らあってもいいわ」
「それならね」
「有り難く貰っておくわね」
「私も」
妻もここで頷く。
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあな、あと試しに着てくれるか」
モサーネドは娘達、そして妻にこうも言った。
「それで俺に見せてくれるか」
「まあ貰ったしね」
「それじゃあね」
まずは娘達が答えた。
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