6話 セシリア戦
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近接武装はショートナイフのインターセプターが搭載。
あらかじめ調べている情報を言い聞かせるように確認する。
ステージの広さは直径200メートル、完全遠距離型に対してひたすら射撃戦をするのは自殺行為。となると必然的に弾幕をくぐり抜け、近距離戦にまで持っていくか。
過去の映像からだとオルコットさんは近距離戦を行っている様子はなく、踏み込ませないように立ち回っていた。
つまり何らかの対策を行っている可能性はあるが、近距離戦は期待特性と相まって不得手な可能性が高い。幸い単純な機動力はこちらの方が高いし、対策も十分に考え、そこに関するトレーニングも行った。
細かく動いて被弾を減らしながらじりじりと間合いを詰める、もしくは射撃の弾幕が薄くなったら一気に踏み込む、のが基本。
とは言っても、今回僕がやれるのは後者しかないんだけど。
心の中で苦笑する。
試合開始の合図である鐘が鳴る。
「最後のチャンスを上げますわ」
腰に当てていた手を僕に向け、人差し指を突きつける。ライフルの銃口はまだ向けられていない。
馬鹿か? この人。もう試合は始まっているんだぞ。
この間に右手に羅刹、左手に夜叉を展開させる。
「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ボロボロな惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝ると言うなら、先日の無礼を許してあげないこともなくってよ」
そう言ってオルコットさんは笑いながら目を細める。
僕はそれを見て―――
「つくづく馬鹿だな、あんた」
オープンチャンネルで容赦なく、下らないと断じる。
僕の発言でアリーナ内は一気に冷たくなったような気がした。
「自分の薄っぺらい自尊心を満たすために、そして女が男に勝てるわけがない、などと根拠のない思い込みを捨てろ。これから僕はあんたを全てを賭して倒させてもらうんだが、負かしたあとで下らない言い訳をされて逃げられたくないんだよこっちは」
今の発言は目の前にいるバカだけではなく、アリーナの観客、そしてピット内にいる人たちにも聞こえるように発した。
「一方的な勝利? 勝負の世界に絶対など存在しない。ボロボロな惨めな姿を晒す? このISを使う勝負の世界はどれだけ惨めに見えても勝利を掴まなければならない世界なんじゃないのか? ああ、失礼、あんたの生きてきた世界はそれだけ楽だったと分かったから喋らなくていいよ。時間の無駄だから」
途中から何か口を挟もうと思ったのか、口を開けたのを見て先に塞ぐ。
「今ここで謝る? 戦いの場で相手を貶めるのが貴族の、そしてイギリス代表候補生の姿勢なのか? 随分なご身分なんだな羨ましいよ」
皮肉と煽りを交えて淡々と声に出す。
つくづく、舐めた連中ばかりだな
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