6話 セシリア戦
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る。
一瞬光ったあと、そこには鬼神に身を包んだ鬼一がいた。
鬼一は訓練で何度もISを乗っているが、展開したら湧いてくるこの不快感は未だに慣れることができなかった。
叫び声を上げたくなるような恐怖感にも似た感覚。
初めてISを動かしたその日、ISは競技用、スポーツに収まるものではないと肌で感じていた。
ブレードを振れば人間の体など真っ二つに出来るだろうし、ライフルの引き金を引けば一瞬で人体に風穴を作れることを理解した。
そんな簡単に人を殺せる代物に乗れることをどうしてクラスメイトやセシリアは喜んでいられるのか、どうして笑っているのか、どうして人を殺せる力を持ってあんな醜い顔ができるのか、鬼一は心底出来なかった。
この危険性を理解しているからこそ、鬼一はISを乗るたびに逃げたくなる。
いくら絶対防御なんて機能があるからと言って、失敗した人間が生み出したものなんだ、ちょっとした不具合で絶対防御が起動しなかったら自分が傷つくかもしれない、相手を傷つけるかもしれない、最悪人を殺すことだって考えられるのだ。
なぜ周りの人間はそれを疑わないのか。
IS学園はその危険性をどうして教えないのか。
どうしてそこまで信じていられるのか。
そこまで考えて鬼一は頭を振りかぶった。今必要なのはこんな余計な思考じゃない。これからの戦いだ。
一度まぶたを閉じて、自身のISに小さく語りかけるように声をかけた。
「臆病者で悪いけど力を貸して」
静かに、だけど力強くスラスターを展開する。
嫌悪感も恐怖も、僅かにある高揚感も情熱も全て内に秘め、戦いに不必要な感情を無くす。
「鬼神、行くよ」
――――――――――――
勢いよくピットから飛び出した僕はスムーズに地面に着地する。
「ふふん、逃げずに来ましたのね」
オルコットさんは僕のことを見下ろしながら、馬鹿にするような口調で声をかけてきた。
周りを見渡すと、自分のクラス以外の人間も随分いるようだった。その中にはたっちゃん先輩もいた。
応援しに行くって言ってたけどまさかホントに来るとは思っていなかった。手を振っているのがちょっとムカつく。
だが、たっちゃん先輩以外の女生徒のほとんどは口元をニヤニヤと笑っている。1週間前のことを知っているんだろうな。そしてこうとも考えているんだろう。
女に勝負を挑む愚かな『たかがゲーマー』である男。
違う今はそんなことはどうでもいい。今重要なのは目の前にいる対戦相手だ。
ブルーティアーズ、イギリスの最新型IS。手にある特殊ライフルはスターライトMk3、現行しているレーザーライフルの中でも特に精度や速射性が優れた武装。それに加えて自立武装『ブルーティアーズ』による多角的な攻撃。
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