6話 セシリア戦
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うかだと思っているがそれもまた2の次の問題。
相手は最先端技術の結晶である、第3世代の専用ISでこれまで200時間を楽に超える操縦訓練を行ってきた手練だ。
鬼一も第3世代ISを使うが、そこには絶望的なまでに積み重ねてきた時間が違う。
IS適正が発覚してから1ヶ月そこらで鬼一も出来うる限りのことをしてきた。ISに関する知識の座学、基本的な操縦訓練とその応用。IS戦に必要な知識と戦略と戦術の構築。
膨大な数の映像資料やレポートを見てそこにある情報を片っ端から分解を行い、一般的なセオリーやその理由の解析から始まり、自分が相対したときの対処法や自分が相手にどのような行動を行うのかベストなのか、思いつく限りの手段を徹底的にトライアンドエラーを繰り返す。
プロゲーマーとして行ってきたその姿勢はISでも十分に使えた。
ブルーティアーズの特徴や対策、そして操縦者のセシリア・オルコットの考え方や癖を押さえることが出来たのは大きなアドバンテージだ。このアドバンテージをどう活かすかが大きな鍵になるだろう。
鬼一の脳内に1週間前に言われた言葉が木霊する。
『たかがゲーマー』
ガリっ、と歯を食いしばる。
今でも、あの言葉を許すことができない。
「……たかが、とかで片付けられるもんじゃないさ……」
目を静かに開き、席から立ち上がった。
――――――――――――
第三アリーナ Aピット
ピット内にカツンカツンと音を鳴らしながら歩いてきたのは鬼一。
初めてのIS戦に緊張しているであろう鬼一に真耶は、緊張をほぐす為に声をかけようとした。
「月夜くん、調子は―――!?」
そこにいたのは傍目からでも分かるほど集中している鬼一の姿。
だが、その集中力は14歳の少年とは思えないほど漲っていた。近づくことさえできないほどのプレッシャー。見ている人間にも圧力を感じさせ、対戦しているものには冷や汗をかかせるほどの緊張感を与える絶対的な存在。
真耶が現役時代に何度か見たことある、所謂天才と言われる人のそれだった。真耶の中ではこれほどの存在は、程度に差はあれども織斑 千冬と同種の集中力だ。
それだけの集中を僅か14歳ほどの少年が発していることに驚きを隠せない。
同じピット内にいた一夏や箒も気圧されてか声をかけることが出来なかった。
「ほぉ、準備は万全のようだな月夜」
千冬は驚くどころかむしろ、どこか楽しげな声色で声をかける。
「大丈夫です。いつでも行けます」
返事は強く、暗い熱を宿した瞳は前だけを見ている。
それ以外は見えていないようだった。
「そうか、ならばISを展開し準備しろ」
その言葉に返事はせず、無言のまま鬼一はISを展開す
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