雨夜-レイニーナイト-part4/悲劇の序章
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無関係の客たちは突然劇場が戦場となったことに驚き、恐怖し、劇場から流れるように逃げだした。
その中には、リッシュモンに怪獣を売ろうとしたあのシルクハットの男も混ざっていた。
だが、それを逃がすまいと何者かが彼の肩を掴む。
「お前か、あの男に怪獣を売ったのは」
シルクハットの男が振り返る。自分の肩をつかんできた者の正体は、ジュリオだった。
「ぐ…離せ!」
男はジュリオの腕を振りほどく。しかし、ジュリオはその男を逃がすまいと、男に向けて鋭い拳を放つ。それは、訓練された兵士にも引けを取らない、すばやく且つ鋭い一撃だった。男の顔面を殴り飛ばし、壁に激突するシルクハットの男。
しかし驚くべきなのは次だった。男は壁に激突した途端、その男の姿が、人間のそれとは大きくかけ離れたものとなった。型崩れしたような頭と、奇怪な模様を体に刻んだ怪人となった。
「おのれ…この怪獣バイヤー『チャリジャ』さまの邪魔をしおって!この星で怪獣を売りさばいてひと稼ぎするチャンスを!!」
チャリジャと名乗った怪人は、手に持っていたステッキをジュリオに向けて邪魔をされた怒りをぶつける。
このチャリジャという異星人は、その異名どおり怪獣を売りさばいて稼ぐのを生業としたとんでもない異星人なのだ。ウルトラゼロアイの強奪をリッシュモンやミシェルに頼んだのも、こいつがレコンキスタの裏に隠れた星人たちにウルトラゼロアイを高く売りつけるためである。そうすれば邪魔となるウルトラマンの一人を潰すことができる上に、自分もそれに伴ってレコンキスタから功績を買われて商売しやすくなる。だが、チャリジャは読みを誤った。ウルトラマンだけにターゲットを絞ったのが間違いだった。
「黙れ」
今の、重くドスのかかった言葉はジュリオの口から放たれた。
「…君たちのような、『世を乱すだけのゴミ星人』共は僕が殺してやる。一人残らずな」
普段の穏やかさと軽さを備え持つ彼からは想像もつかない、激しく鋭い殺気に満ちた視線が、チャリジャに突き刺さる。彼に見ほれていた女性たちがこれを見ていたら、ジュリオへの憧れが一瞬で恐怖に染まっていたに違いない。
怪獣や星人によって平和を脅かされた怒りは誰にでもある。だがジュリオのそれは、どこか異常にも思える。なぜ、彼はこんなにもさっきの籠った眼をチャリジャに向けるのか?
「ふ、ふん!そんな凄味のある視線で睨んでもちっとも怖くないぞ!来い!ヤナカーギー!!!」
チャリジャはジュリオの殺気に圧されかけるも、虚勢を張って持ち直し、手に持っていた杖を床に突き刺す。
その時、大きな地震が雨の中のトリスタニアで起こった。街の外の地面が地割れを起こし、その中から一体の巨大な怪獣が姿を現した。
「さぁ、私の手で復活した『宇宙恐竜ヤナカーギー』よ!共に大暴れしようぞ!」
「ニャアアアアア
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