雨夜-レイニーナイト-part4/悲劇の序章
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顔をあらわにする。
「へ、陛下!!?」
そこにいたのは、なんとアンリエッタだった。さすがにリッシュモンを目を丸くし、彼の隣にいた女とシルクハットの男も驚く。
「どうやら私の策が効果を表したようですわね。街を数件にも渡って荒らす黒いウルトラマンに私がかどわかされたと偽情報を流し、私が姿を消せば、あなたはレコンキスタの者との接触の予定をずらさねばならないと見ました。狡猾な狐も慌てれば尻尾を出す…本当だったようですね」
「なるほど…すべては私をいぶり出すための作戦だったというわけですか!」
驚きはあるが、それでもリッシュモンは邪気のこもった不敵な笑みを浮かべていた。敵なら見事とは思っているのかもしれないが、自分の行ってきた、そして行おうとしていた悪行にまるで詫びれる様子がなかった。それは、アンリエッタに失望の念を強めさせた。
「あなたは幼いころから、王室に貢献してくださいました。私もかわいがってもらいました。ですが…王国の権威と品位を守るべきあなたもまた、この国の平和を脅かす侵略者に手を貸す売国奴だったとは」
小さい頃、ルイズと初めて友達になったころから、アンリエッタはこの男を知っていた。そして祖父と孫のように親しく接した頃もあった。だがそれは…幻だったのだ。
奴は、この場で侵略者から買い取った怪獣で町を破壊しようとした。そして悪質なマンチポンプで権力をさらに高め、この国を…。その事実が、アンリエッタの心を固めた。
「売国とは心外ですな。わしはこのトリステインをあるべき姿にしようとしたまでのこと。つまり、我々が行おうとしていることには正義があるのですぞ。あなた様も、私のことを調べる際に腐るほど知ったはずでは?」
全く詫びれもせず、自分には大儀があることを主張するリッシュモンだが、それでもアンリエッタの視線は冷ややかだった。確かにこの男が言うように、今のトリステインにはまともな貴族らしい貴族は減少傾向にある。平民を見下し、自分の権力と財産に胡坐を掻くものだらけ。魔法衛士隊で功績を上げてきたあのワルドでさえ非道な裏切りで、アンリエッタにとって大切な二人の人間を殺そうとしたほどだ。
だが、だからと言ってこの男が口にした『正義』という言葉を全く信用できない。できるわけがないのだ。
「リッシュモン、あなたを罷免します。そこのお友達二人とも共、逮捕されなさい」
だが、リッシュモンは動じない。
「ふん、甘いですぞ陛下。わしがこのような事態を予想しなかったとでも?」
彼が席を立つと同時に、バッ!とリッシュモンの周りに武装した男性兵士たちが、さっきまでのお客の姿から一瞬にして姿を変えた。思った通り、客に紛れ込んで奴の部下が入り込んでいたのだ。
そのなかには…アニエスやサイトが予想していた通りだった。
ミシェルがリッシュモンのすぐ傍でその顔をあらわに
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