雨夜-レイニーナイト-part4/悲劇の序章
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「リッシュモン様、この先へはいけません。ここは町の外に通じるルートを行きましょう」
「ふん…致し方あるまい」
この隠し通路はリッシュモンの屋敷以外にも、もう一つ通じている行き先がある。彼女の言うとおり街の外だ。リッシュモンの屋敷からの脱出も可能なように、街の外にもこの通路を開通させていたのだ。
二人は分かれ道の方へ戻り、もう一つの、右の道へと進んだ。
その先の道は、トリスタニアの町中に張り巡らされている地下水道の中である。そこからマンホールを開ければ地上を拝むことができる。出口のマンホールはすぐ近く。主の身の安全のため、ミシェルから先に梯子を上って出口のマンホールを開いた。
外は土砂降りの雨だった。リッシュモンとしてはこんな雨の中、外に出たくもなかった。高級な生地で作られた服が水で台無しになってしまう。だが今は四の五言っている場合ではない。ミシェルに手を引っ張られ、彼もまた地上に出る。
ズシン!と地面に強烈な振動が走る。二人が町の方を見ると、二体の怪獣が互いに暴れていた。
「崩落の原因は奴らか…余計なことをしおって」
あの怪獣たちが地上で暴れまわった衝撃のせいで、さっきの屋敷へのルートが崩落したのだ。リッシュモンは暴れまわるヤナカーギーと、それを迎え撃つゴモラを見て苛立ちを募らせた。
「ずいぶん変わった帰り道だな。二人とも」
雨と闇の奥から、聞き覚えのある声が二人の耳に入った。
「隊長…!」
闇の奥に居るその女性は…今となってはミシェルの元上司でもある銃士隊隊長、アニエスだった。体が冷えることもいとわず、彼女は雨の中で二人を待ち続けていたのだ。
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