雨夜-レイニーナイト-part4/悲劇の序章
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的事実だった。
「それをアニエスから聞き、私は他にもさらに裏切り者が、それも私のすぐ近くにまで値を広げていると考え、アニエス以外には時が来るまで一切今回の作戦のことは口外しないように伝えていたのです。もしかしたら、ミシェルも…と予想して」
ミシェルが元々没落した貴族でありながら、アンリエッタの近衛兵として召し抱えられた。返り咲いたともいえるだろう。だが一度没落した貴族がトリステインで再び成功した例などまるでない。一度位をはく奪された貴族はそのあとも同じ貴族たちから誹謗中傷の的となり、再出世など絶対にありえない。だがミシェルは銃士隊の副長という立場に身を置いている。間違いなく、裏切り者であるリッシュモンが裏で手を貸していたのだ。そうなるとミシェル以外にも召し抱えられた裏切り者がいても不思議じゃない。
「サイト…」
「平賀君…」
塞がれた床の仕掛け扉をルイズとハルナは、憂い顔で見下ろしていた。
だがこうしてはいられない。早くリッシュモンを追わなければならない。
隠し通路へ逃げ込んだリッシュモンとミシェルは、ミシェルのレビテーションの魔法でゆっくりと落下しながら着地した。そこは地上からどれほどの深い場所にあるのかはわからない暗い闇の中だった。
「ふぅ…よくやったなミシェル。計画は途中であの小娘に頓挫されてしまったが、最悪わしらが生き残れば問題はない。
ミシェル、わしの警護をせよ」
「…はっ」
二人は闇の中を進み始める。途中二手に分かれた道に出くわし、二人は左の道へと進んだ。
この通路は自分の屋敷にも通じている。後は屋敷まで逃げ切り、これまで集めてきた財産を持ってアルビオンに亡命してしまえば自分たちの勝ちだ。その時間稼ぎのためにも、怪獣バイヤーからもらったあの怪獣のカプセルを早速使わねば。
それにしても、あの姫はずいぶんと余計なことをしたものだ。次に会ったときは、あの体を男供の慰み者にし、使い物にならなくなったところを絞め殺してやる。
しかしミシェルの表情は、リッシュモンと違って晴れやかさがなかった。
(サイト…)
これで本当によかったのかと、今になって迷いが強まった。リッシュモンという主には覆しようのない邪念がある。自分がそれでも従っているのは、やはり自分を救ってくれた恩義がある。だが恩義ということに関して言えば、自分はウルトラマン…サイトに救われたことがある。どちらを選んでも結局恩義を仇で返してしまったことになる。
だがその時だった。
ガシャン!!と天井が大きく揺れ、天井に敷き詰められたレンガの一部が落ち、目の前の通路が崩落してしまう。
「ぬぐぅ…くそ、あれほど整備をしておけと命じておったのに、使えん奴らめ」
リッシュモンは口汚く吐き捨てた。おそらく自分の命令でこの通路を作ったメイジたちに対して文句を言っているのだ
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