雨夜-レイニーナイト-part4/悲劇の序章
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あんたを倒すわ!」
すでに虚無の詠唱は完了していた。いつでも奴に向けて
リッシュモンはルイズのこともレコンキスタから聞いている。あの小娘こそが奴らが求めている、伝説の系統『虚無』の担い手だと。あのような小柄な小娘ごときがそんなたいそうな力の持ち主だとはにわかに信じがたいく思っていたが侮ると今以上に痛い目を見るだけだ。
「往生際が悪いですよリッシュモン!ミシェルもおやめなさい!その男に手を貸すというのは…!」
アンリエッタが二人に向けて叫ぶ。
「そうだそうだこの腐れ爺!おとなしく縛につきやがれ!」
グレンもアンリエッタに続いて怒鳴り声を散らす。
リッシュモンの取り巻きたちもすでに銃士隊やUFZによって討ち取られたか逮捕されており、リッシュモンに今力を貸すことができる味方はミシェルただ一人だ。そして今彼らは、銃士隊の隊員たちやルイズたちから、銃口と杖の先を向けられていた。その気になれば一斉攻撃も可能だ。
「ミシェルさん、おとなしく降参してください。もう俺たち全員の武器はあなたたちに向いています。今ならまだ、罪を償える…」
サイトもまた、デルフの剣先をミシェルとリッシュモンの二人に向けた。この人からは裏切られ、しかも自分たちの命の欠片でもあるウルトラゼロアイを奪われた。だがそうだとしても、サイトは一度仲間でいてくれた人が、実は敵だったかってすぐに剣を振り下ろせるほど非情にはなれなかった。せめてミシェルにはここで引き返してほしかった。
「お前は…甘いな」
だが、ミシェルはその要求を拒んだ。忠誠を誓う主の前で飲み込める話ではなかった。もちろんサイトだって、頭では分かっていたことだ。だがそれでも、言わずにはいられなかった。
「ふん…バカな小僧だな。この女はわしが召し抱えた者よ。そんな安っぽい言葉などで傾くものか」
リッシュモンはサイトのミシェルへの説得を聞いていたが、心底不快感を催すような言い方で吐き捨てた。それを聞いてサイトは怒りを覚える。こんな男になぜミシェルさんが…と。自分が守ってきた人間に、こんな外道が混ざっていたとは。
そんなサイトの敵意を向けた視線を無視して、アンリエッタの方へ視線を向けた。
「しかし陛下、見事なご成長…このリッシュモン、嬉しく思いますぞ。そんなあなた様に、幼いころから助言した私からの最後の助言です。あなたは…」
彼は手に持っている杖で軽く床を小突いた。
「昔から、詰めが甘い」
その時だった。ちょうどリッシュモンとミシェルが立っている床が、パカッと開かれた。
「「!!」」
全員誰もが目を見開いた。そこはなんと、地下へ続く隠し通路だったのだ。
「ま、待て!!」
サイトは一気に駆け出し、自分もまた穴の中に飛び込んでいった。
「サイト!」「ひ、平賀君ッ!」
それを見たルイズや足の怪我を無視したハルナも
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