雨夜-レイニーナイト-part4/悲劇の序章
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その夜…。
サン・ミレ聖堂の11時を示す鐘が鳴り響いた。
予定通り…とは少し違ったが、リッシュモンも予定の時間通りタニアリージュ・ロワイヤル座へ来た。
「今宵お集まりの皆様、今夜は…」
彼が来た時点で、すでにサイトたちが執り行うことになっていた劇は始まっていた。今はジェシカが演劇の開始前の挨拶を、観客たちを相手に行っている最中だった。座席に座るリッシュモン。隣の席はまだ空いていた。
(…)
アンリエッタが黒いウルトラマンに突然誘拐されるという事態は想定されていない。そんな非常事態も知らず、この劇場に集まった人たちは今夜の演目を楽しみに待っている。客の大半は女性だが、その中には何人が男性も混ざっている。
だがリッシュモンは劇を見に来たわけではない。密談の約束を果たすためである。
例のアルビオンからの間者はまだ来ていない。さっさとこないか、苛立ちながらもリッシュモンは待ち続けた。
そう思っている間に、『双月天女』が始まった。
「ノエル王女、ぜひこの私めとご結婚を!」
さて、ウェザリーによって選ばれたノエル王女役。ハルナは足の負傷が原因で今回の舞台に参加することができなくなってしまった。
よってノエル王女役は…。
「ごめんなさい。私はあなたと結婚することはできません」
「ですが、あなたはこれまでどれほど噂に名高い方々との結婚を拒まれる。その理由をお話成されぬのなら、諦めようにも諦めきれませぬ」
ルイズが抜擢された。以前、サイトとの舞踏会で来ていたように、ウェーブのかかったピンクブロンドの髪をポニーテールで結い、衣裳も見た目はあの時のドレスにも引けを取らない気品にあふれたドレスを着ている。
ちなみに今の求婚者の役はレイナール。彼もまた立派な貴族用の紳士服を着ている。
今は、ノエルが求婚者の一人から結婚を迫られ、それを適当な約束であしらう一場面だ。
「では、こういたしましょう。私は実は、あるものがほしいのです」
「ほしいもの、とは?」
「かつてここから遥か東方にある大地には、古代文明が遺した空を飛ぶ乗り物があるという話を聞いたことがあります。それは竜よりも早く飛び回り、昼時でも流星のように輝くことから『銀色の流星』と呼ばれておりました」
「それを、見つけてくれたら、私とご結婚してくださるのですね」
「はい。約束いたしましょう」
「では、さっそく探しにまいりましょう!」
レイナールの演技も、悪いものではなかった。彼もまた貴族としての面目を気にしていたことから演劇に参加することを渋っていたがmこれもウェザリーの指導のたまものだろう。
「はあ、毎日毎日こう言い寄られ続けると嫌になるわ…」
ルイズの演じるノエルはため息を漏らしながら、バルコニーから外の景色を眺める。これまでノエルは何人もの求婚者と対面しては追い払っていた。ノ
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