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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
5話
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にゲームが好きなら、全力で向き合っていれば必ずゲームが、お前を救ってくれるって」

 思い出す、あの頃の熱を。
 自分の全てを燃やし尽くし、ただただ夢中で熱くなっていたのを。

 「全力で戦い続けて、寝ても覚めてもゲームに全てを注ぎましてね。それこそ馬鹿みたいにですよ。それを繰り返してたらある日、唐突に気づいたんですよ」

 寝食を忘れ、時間を忘れ、ゲームの世界に、勝負の世界に没頭していたあの時代。

 「気がついたら、尊敬する人が自分に道を示してくれていた。沢山の仲間たちが僕を支えてくれていた。自分の全力に全力で応え、潰しに来るライバル達がいてくれた。顔も名前も知らない人たちが僕を、喉が潰れるまで応援してくれていた」

 1人、また1人と自分のすぐ近くに人が増えていた。

 「その時、不意に思ったんですよ。自分はもう1人じゃないって」

 ゲームが、これだけのものを自分にくれた。

 「それが僕にとっての救いでした。それからは……たっちゃん先輩も知っている通りですよ。数多くの大会で勝ち続けて、世界王者にまで登ったんです」

 無我夢中の3年だった。走って走って、時代を駆け抜けた。

 「救いだったからこそ、自分もゲームで誰かの救い、救いは言いすぎだとしても力になれると思ったんですよ。僕が自分の全てを賭けて戦い続けることによって誰かに力を与えられると思った。そしてたくさんの人が『ありがとう』と言ってくれた。でも」

 IS適正検査の結果を見たときの絶望感を僕は一生忘れない。

 「全てを賭けられなくなったら、誰かの力になれないんじゃないか? という漠然とした不安が出てきたんですよ。自分が全力で戦い続けるからこそ人に力を与えていたのに、それが出来なくなったら僕は……、ってね」

 全力で戦い続けていたからこそ、全力で向き合い続けていたからこそ、ゲームもたくさんの人も僕に応えてくれた。

 「だからゲームは辞めました。もう、ゲームを、あの世界に飛び込むことはないでしょう」

 それだけの価値を勝負に、そしてゲームに感じていたからこそ、全力でやっていたからこそ意味があった。

 「そんな僕だったから、勝負を、そして、ゲームを馬鹿にすることだけは我慢できなかったんです」

 僕を馬鹿にするなら我慢できた。
 だけど、あの世界にいる人たちをあの女は馬鹿にした。
 たかが、と。
 そんな言葉で片付けられるほど、あの世界は、浅いものでは、ないのだから。

 「相手は代表候補生、普通にやっても絶望的な戦いになるわよ」

 「ええ、僕もそう思います」

 当然だ。相手は僕と違ってISに時間を割いているんだ。
 ISの強さは起動時間に比例すると言われている。代表候補生クラスなら200時間を
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