5話
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12歳で世界最年少プロゲーマーになり、14歳でワールドリーグ決勝トーナメントに出場し、優勝を果たす。名実共に世界王者の座に座りe-Sportsの申し子にして勝負の鬼」
「……」
「敗北濃厚の状況から奇跡のような大逆転劇を生み出し続け、異常なまでに勝負に臨む姿は鬼とまで言われた。IS適正発覚後、惜しまれながらもプロゲーマーを引退し、ゲームそのものを諦め、業界から姿を消した。有名な言葉は『ゲームはいつだって戦いであり自身にとって救い』」
そう、確かにそれらは僕を表す言葉だ。
「それだけのことを言われる人がどうして、確かにISのことはあるけどどうしてゲームを諦めたの?」
その言葉に明確な理由があるわけではない。
だけど、自分の中で辞めよう、ゲームは諦めようと思った。
「……そうですね、正直なところ、明確な理由があるわけではないです」
その言葉に首をかしげるたっちゃん先輩。
「それでも、理由を挙げるとすれば先輩が今言った言葉通りですよ」
「え?」
「うまく説明できませんが『ゲームはいつだって戦いであり自身にとって救い』だったからですよ。ISの世界に飛び込むことになって、僕の全てをゲームに費やすことができなくなった。全力で勝負出来なくなった。僕にとってゲームは勝負、戦いの場であったからこそ全てを燃やすことができた。でも、全てを燃やすことができなくなった瞬間、もう僕にあの場所に立つ権利はないんですよ」
自分の全てを使って、頭も身体も時間も限界までゲームに費やして戦う価値があった。
全力で戦うからこそ、そこでしか見えない世界があった。そこでしか感じ取れないものがあった。そこでしか出会えない人たちがいた。
文字通り死に物狂いで挑み続けるからこそ、ゲームは僕に答えてくれたんだろう。そんな僕がゲームに全てを費やせなくなって、今更ゲームに対して遊びや趣味で向き合うことなんて考えたくもなかった。
いや、できるわけがなかった。
「そう……。救い、というのは?」
「……先輩は知っているだろうから言いますけど、僕、プロゲーマーになった直後に両親を亡くしてるんですよ」
「……」
「両親は僕に惜しみなく愛情を注ぎ込んで育ててくれて、傍から見ても幸せな家庭だったと思います。だから亡くした直後、ショックで大会の成績ズタボロだったんですよ」
そこで思わず苦笑してしまう。
本当にあの頃はひどかった。精神が崩れて、戦いとは到底言えないひどい内容の試合の連続だった。
自分は1人でずっと苦しかった。苦しくて、辛くて、歩くことも嫌になってた。
「でも、その頃、僕を引き取ってくれた姉のような人と尊敬するプロゲーマーの人が言ってくれたんです。お前が本当
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