5話
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コーヒーを飲む。
下を向きながら一息つく。
ダメか。それなら。
改めてお願いするために顔を更識生徒会長に向け―――。
「えい」
つん、と、どこから出したのか扇子の先端がおでこに触れる。
いたずらが成功したような子供のような笑みを浮かべたこの人は―――。
「おねーさん、強くなろうとする子にはやさしいのよ?」
そういって了承してくれた。
「っ、ありがとうございます!」
僕のお礼に笑みを濃くしたその表情は、家族の姉を彷彿させるものだった。
「あれ? そういえばキミに自己紹介してたっけ私?」
僕が更識生徒会長のことを知っているのがそんなに疑問だったのか、次の瞬間にはそんな間の抜けたことを言った。
いや、国家代表のことを調べてたらあなたがいたんです。個人情報だからかIS学園にいることまでは知らなかったけど。
バサっ、と広げられる扇子。疑問、と書かれていた。
――――――――――――
がたごとと荷物を整理する僕。
「ところでたっちゃん先輩」
更識生徒会長改めたっちゃん先輩は僕の荷物の一部、パソコンを机に組み立てている。
先ほどたっちゃん先輩から自己紹介を受けた際、「更識 楯無だよ。たっちゃん、って呼んでね」と言われたのが、流石にたっちゃんとダイレクトに呼ぶのは躊躇われたので先輩とつけることにした。今までこの自己紹介をしてホントにたっちゃん、と呼ばれたことなかったのか、ちょっと驚いていた。
ゲーセンにも結構ブッ飛んだ人は多かったが、話してみれば意外と親しみやすい人は多い。人殺しみたいな顔をしたプレイヤーがいたり、金髪で体格のある虎のようなプレイヤーとかいたけどどちらも良い人であった。
色々変わった人は多かったから、今更名前の呼び方くらいでうろたえたりしない。
いま、みんな何してるんだろう?
「なーに、鬼一くん?」
「部屋に住むって言ってましたけど、ガチなんですか?」
「もちろん。護衛だもの」
確かに理屈はわかるのだが、どうも納得いかない部分はある。
「いや、それは分かるんですけど、いくらなんでも年頃の男女が一緒というのは……」
IS関係をまとめたファイルを取り出す。
まずい、後で今日の授業分纏めないと。
「なーにぃ? 鬼一くん、私を襲ったりしちゃうのー?」
「しませんよ!」
くすくすと笑い声がする。
この短い時間でなんとなくだが、この人の思考はなんとなく分かった。
さっきの痴女スタイルもそうだったが、強引でマイペースな人なんだと思う。普通に話していてもからかってきて、ペースを乱してくることも多く、踏み込んでくることも多いから基本的に自分のテンポで
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