暁 〜小説投稿サイト〜
宇宙を駆ける狩猟民族がファンタジーに現れました
第三部
名誉と誇り
にじゅうはち
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「おう。こっから先はお前らで行ってこい」
「……は? 隊長はどうなさるおつもりで?」

 あまりにも無責任過ぎる物言いに、部下の男は先程まで感じていた畏怖を忘れ、呆けたように問いかけた。

「俺ぁちょっくらやることができた。ここから1時間ほど行ったところで何もなけりゃあ、今日のところはそれでいい。そんぐらいならおめぇにもできるだろ」

 肩で偃月刀を弾ませ、悪びれることもなく森の奥を指差して宣うヴァルクムント。
 部下の男は、何を言ってもこの男が譲らないのを長い年月から熟知していた。一度大きく疲れたような溜息を吐くと、諦めた顔で大男を見上げる。

「……わかりました。では、戻ったら隊長がしっかり報告して下さいよ。いやですからね、お小言いわれるのは」
「はっ! こちとら命掛けてんだ。小言の1つや2つ、びびってんじゃねぞ」

 そう言って、ヴァルクムントは鼻で笑い、なんのことはないと振り払うように腕を振るう。

「そうですか。では、隊長が勝手に単独行動を取ったと、私からヘイムダル様へお伝えしておきます」
「……おい。それとこれとは話がちげーんじゃねぇか?」
「違わないです。何と言っても、私たちも命が掛かってますから。今後のためにも、ですね」

 爽やかな笑顔の中に、若干の怒気を孕ませた笑みである。
 ヴァルクムントは一度舌打ちをすると、部下の男へ背を向けて1人、隊列から外れて森の奥へと進んでいく。「ったく、なんだってんだ」とぶつくさと文句を言いながらも、考えを改めるようなことはないようだ。

「ちゃんと帰ってきて下さいよ!」

 その背に掛けられた部下の言葉に、振り返ることなくヴァルクムントは手を振ることで応えた。







「ここに、こんな拓けたところがあるたぁなぁ」

 周りは不自然なほどに地面が均されており、半径100メートルほどの円形が出来上がっていた。

 偃月刀を肩に担いだ大男、ヴァルクムントは周囲を見渡して言ちると、視線を一点へと固定する。

「なぁ、そうは思わないかい。嬢ちゃん」

 上半身は見たこともないデザインの、何かの生物の皮を鞣したタートルネックのノースリーブの肌着と、これまた見たことのない形状の胸当てと肩当てを身に付け、下半身はほとんど太ももが見えているホットパンツに、膝まで隠せる足鎧を装備している女性。
 肌に直接着ているのだろう、衣服の体をなしているとは思えない網目上の何かが、露出している肌を申し訳程度に覆っている。
 場所が場所であれば、その女性の美しく人好きのする容姿も相まって、男共の視線を釘付けにしただろうことは、想像に難くない。
 だが当然、ヴァルクムントにそういった反応は望めない。

 ざっと見たところ、武器の類を持ってい
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