暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
雨夜-レイニーナイト-part3/狐狩り
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ことに成功なされたのだ。そやつがアルビオンに送りつけていた密偵を捕えて情報を聞き出したところ、劇場で、落ち合うことになっているというらしい」
「劇場!?もしかして…タニア・なんとか座でしたっけ?」
「タニアリージュ・ロワイヤル座だ」
思わぬ場所名を聞いて、サイトは声を上げる。アニエスは適当な地名を口にするサイトに軽く訂正を入れる。
『お前、世話になっている場所の名前くらい覚えとけよ…』
ゼロまでも突っ込みを入れてきて、サイトは『うるさい…』と心の中で言い返した。
「えっと…もしかして裏切り者を、いぶりだすため…ですか?」
「その通りだ」
ワルドの例もある。奴のせいで辛い思いをしたアンリエッタが、裏切り者なんか自分の手元に誰が置きたがるわけがない。しかしサイトにはまだわからないことがある。
「それはいいんですけど、何も女王様自ら城から離れて隠れなくても…かえって危ないじゃないですか」
「私もそう言ったのだがな、陛下は『鳥籠の中でお飾りの姫を続けるのはもうたくさん』だと仰って聞かなかったのだ」
本人ではなくアニエスの口から言い放たれた言葉だが、そこには確かな信憑性があった。アンリエッタはかつてゲルマニアとの同盟のために、愛するウェールズではなく、同盟のためにゲルマニアの皇帝と結婚するかもしれなかった。そして先日、ウェールズを利用した誘拐事件。周囲の者から自分が道具のように利用されることへの嫌悪感が取れた。
「元々、今回お前たちに話していた黒いウルトラマンの口実も、陛下が考えた口実なのだ」
「え!?じゃあ、ファウストが現れたって情報は…」
「あぁ、陛下が奴に浚われたという偽情報を流すためのデマだ」
「マジっすか…」
なんて嘘を思いつくのだろう、とサイトは思った。あのお姫様は。自分が浚われたふりをするために、そんな大仰な嘘をついてくるとは。
「じゃあ、街の一部が壊れてたのは…」
「あれはまだ復興が済んでいないだけだ。何せこの街は、たった一度だけの怪獣災害で過去にないほどのダメージを負わされた。それが二度以上も起こった上に、だからこうなってもおかしくない」
なるほど…そういうことか。しかし、あのお姫様は本当にお転婆な人だと改めて痛感する。
「役目を忘れないようにしろよ。今の陛下は、貴族に信用に値する者たちがほとんどおられぬのだからな。お前は口が堅そうだからこそ伝えたが、無論誰かに口外するようなことがないようにな」
「は、はい…わかってます。お姫様たちに迷惑はかけたりしたくないですから」
厳しい視線にさらされ、サイトはすぐに二つ返事で頷く。
「それでいい。それを聞いて安心した」
「でも、いくらお姫様一人じゃ危険です。護衛は居た方が…」
「いや、心配いらない。陛下は万が一に備え、ミシェルも知らないある護衛を引き連れている」
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