雨夜-レイニーナイト-part3/狐狩り
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その日は、ついに双月天女が開演する日だった。
「みんな、今日までよくがんばったわねん!サイト君もあれからやる気を取り戻してくれたみたいだし、妖精さんたちも美しさに磨きがかかったしん、お姉さんも鼻が高いわ!」
今朝の稽古を終わらせ、この日を迎えたスカロンはもちろん、誰よりもウェザリーは待ち望んだ日を満足できる形で迎えることができて安心しているようだ。
サイトはというと、ルイズからの勧めで強制的にケイン王子役にふさわしくなるようにという名目の特訓で、真面目に稽古に取り組むしかなかった。
結局先日の、自分以外のケイン王子役の件は、ひとまずみんなの…主に女性陣からの意見でジュリオに決定した。最も、サイトがめったなことで怪我などを負わない限りはサイトのままである。
舞台が開始するのはこの日の夜。最後のチャンスだ。サイトはゼロアイをなくしたその日から
できれば、そのときまでにミシェルに会って、ウルトラゼロアイの居所を聞かなければ。
舞台が始まるまで時間がある。サイトは劇場を出て、早速ミシェルおよびゼロアイの捜索に向かう。
その日は、朝から曇り空だった。時間が経てば雨も降ってくることだろう。
「にしても相棒、探すのはいいけどよ、本当に見つかるのかね?」
ふと、サイトの背中に背負われたデルフが声をかけてきた。
「何が言いたいんだよ」
「もしあの銃士隊の副長さんがよ、相棒の眼鏡を盗んだって事は、やっぱ相棒の秘密が連中にばれてるってことになるんじゃねぇか?」
秘密…それはサイトの正体が、この国をあらゆる脅威から守ってきた光の巨人ウルトラマンゼロであるということ。そして、あの眼鏡こそサイトがゼロの姿となる重要なキーであること。事情を知らない人間からすれば、換わった意匠をあつらえただけの眼鏡にしか見えないはず。それらを知った上でミシェルは盗んだのなら、おそらく彼女のバックにいるのはゼロの存在を快く思わない知的生命体たちだ。
「それに、あの眼鏡が変身に必要な道具ってことになるなら、寧ろあの場で壊しちまえば連中にとって万々歳だろ?」
『ウルトラゼロアイは俺たちの命と、絆が一つの形となったもんだ。そう簡単に壊されねぇよ』
デルフからの問いに対し、ゼロが断言した。ラ・ロシェールでの失態をきっかけにお互いに深すぎる溝を掘った二人だが、タルブ村での旅路をきっかけに、確かな絆を強固に結んだ。その証こそがあのウルトラゼロアイだ。それを壊されるということは、サイトとゼロの絆がやはり同じ体を共有しているだけの薄っぺらいものでしかないということになる。
『まぁ、その感情的な理屈を置いても、ウルトラゼロアイはかなりの強度で出来上がった宇宙金属製だ。そう言った意味でも簡単に壊されることはないはずだ』
「なるほどねぇ…」
だから盗んだ程度で済んだ。それに魔法で破壊
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