雨夜-レイニーナイト-part2/悲劇の前夜
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任されたというのに、それを解任させられるのもショックだ。
だが、これはこれで、ちょうどいいのかもしれない。ゼロアイは必ず探さなければならないし、かといって目の前の…舞台に参加するということも忘れてはならないことだ。でもゼロアイを探す上で、舞台に参加する…ましてやヒロインの恋人役という重要な役割はかえって邪魔になってしまう。
これを機会に、なんとしても見つけなくては。
ミシェルを、そして彼女が持ち去ったであろう、俺たちの命…ウルトラゼロアイを。
「サイト!」
しかし、隣に立っていたルイズがサイトに向かって声を荒げた。
「あんたせっかく主役になるんだからしっかりやって頂戴。一度任されておきながら引き摺り下ろされるなんてみっともないわ!」
「えぇ!!?」
ルイズからダメ出しを受けて、サイトは唖然とした。いや、確かにルイズの言うことも間違っては居ないし、事情を知らないからこんなことを言ったのだと思うが、ウルトラゼロアイがない今、そんなことは言わないでほしかった。
「で、でもそれは…」
「何よ?何か文句でもあるの?」
「その、俺が今の役を降ろされるってことは、俺よりもうまく王子様役をやってくれる人が居るって事だろ?俺の下手な演技でせっかくの演劇を台無しにするわけに行かないし…」
適当なことを言って言い逃れようとしたが、それはかえってルイズの心の火に油を注ぐだけだった。
「そんなだらしのないことを言う使い魔には寧ろ灸を添えるべきだわ。ウェザリー。もう一度サイトをケイン王子役にふさわしくできるように鍛えて頂戴!」
「ミス・ヴァリエールがそこまでいうのなら、そうね。サイトをより念入りに鍛えなおしておきましょう。代役の子とセットで」
「えええええええええ!!?」
サイトの思いも空しく、彼は結局より一層きつくなった稽古に付き合わされてしまった。
ルイズに対して恨み言を言いたくなったが、それは飲み込んだ。ルイズはサイトがウルトラマンであることを知らないままだし、知らせるべきじゃない。それに、ルイズは単にだらしなく見えたサイトに喝を入れるつもりであっただけで悪意があったわけじゃない。実際サイトがゼロアイのことで気を取られすぎていなければ済んだ話なのだ。
とはいえ、それでもサイトは心の中で叫びたくなった。
いつぞや、ゼロの父親の前に姿を見せた、海の中に潜む先住民を名乗った種族の使いとして現れた、謎の少年のように…
地球に居た頃、クール星人にさらわれたときに自分を助けに来たGUYSの隊長がメビウスに言ったように…
「ルイズの馬鹿野郎――――――――!!!」と。
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