雨夜-レイニーナイト-part2/悲劇の前夜
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て」
ウェザリーはこれ以上続けられると彼女たちにとっても何の特にもならないので、さっさと帰ってもらうように言った。
「喧嘩してたつもりじゃないのに…」
なんで自分が悪者扱いされないといけないのだろう、こんな真っ平らな体を与えた神を呪いたい。ルイズはこの世の不平等さを呪いたくなった。
(ちぃ姉さまは姫様以上に大きかったのに…なんで私はこんななのかしら…)
キュルケは既に先に帰っている。彼女に見られなかったのは幸いだ。でなければ、きっとこの光景を見て馬鹿笑いしていたに違いない。そう思うだけで不愉快なものだ。少なくともルイズにとっては。
彼女にとってその日の苦労はそのあとのことだった。サイトから本当になんでもなかったかと問われた。なんだかご主人様としての威厳がなくなってきた気がしてならなかった。
まぁ、少なくともハルナをいじめていたのでは?という誤解は必死の説得と、気を取り戻したハルナの説明もあって解くことはできた。
で、宿…といっても、以前借りた魅惑の妖精亭の屋根裏部屋。スカロンの伝で三人はそこを再び借りることになった。サイトは今、店の片付けという名目でこの場から一度追い払っている。さっきハルナをいじめていたという誤解を受けたことへの報復で、ルイズが彼に一発蹴りを入れたのは別の話だ。無論サイトから何すんだよ!と睨まれたが、ルイズは「うっさい!人の気も知らないで、この馬鹿犬!」と一蹴した。
理不尽だ…。
「にしても…こんなものがあったとはね。変な形だけど」
屋根裏部屋にて、ルイズはハルナからあるものを見せてもらっていた。手のひら一杯分の大きさのやわらかい物体。ハルケギニアでは見られないものだ。
それは…いわゆる『パッド』。胸用の上げ底だった。
「全くもう、いくらバレたくないからって、いきなり泣き出さないでよね。おかげでサイトに誤解されちゃったじゃない!」
「ご、ごめんなさい…」
「ごめんなさい…じゃない!その詰め物のせいで…その詰め物であんたが胸を大きく見せていたせいで……どれだけ小さい胸を痛め…もとい!肩身の狭い思いをしてきたと思ってるの!」
ルイズは我慢ならなかった。自分は胸の小ささで悩んでいるというのに、ハルナは一人だけそれを誤魔化していたのが。
「昔見栄を張ってパッドを一枚、また一枚と入れていく内に後戻りできなくなって…。
ルイズさん、お願い!みんなには…特に平賀君にだけは絶対に知らせないで!」
ハルナは必死に懇願した。さっき劇場で悲鳴を上げた際はサイトも駆けつけてきたのだが、間一髪サイトの視線から背中を向けた状態でうずくまっていたおかげで、ルイズ以外からは上げ底をしているという秘密は明かされずに済んだ。
「…わかったわ、黙ってあげる。私も頭に血が上っていたし」
「あ、ありがとう…」
ハルナの秘密
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