雨夜-レイニーナイト-part2/悲劇の前夜
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
…ただの憎悪の対象なのである。
「胸か…やっぱりあいつ胸か!これがいいのか!こんな…こんな脂肪の塊が!」
「ひゃん!!?」
ルイズは我慢ならず、真っ先に目に映ったハルナの胸に手を伸ばし、引っつかんだ。
「ちょ、ちょっとルイズさん…やめて…って!」
「こんな脂肪の塊のどこがいいっていうのよ!どうせ将来、年を取ったときにはだら〜んってぶら下がって、ダサくなるだけじゃないの!!」
さりげなく、全ての胸の大きな女性たちへの恨みを募らせた悪口を喚きながら、ハルナの胸をまさぐるルイズ。自分の魔法の才能とあいまって、以前から自分の体系にコンプレックスを抱き続けていたのは知っているが、これほどとは凄まじいものである。その恨み言で傷つくのが、真っ先に居るハルナだというのに……と、冷静さを保っている間のルイズなら気が付くだろうが、頭に血が上った今の彼女は気づくはずもなかった。
しかし、そこでルイズは思い知ることになる。
目の前の、シエスタ並みのバストサイズの少女が、実は自分の同類だったことに…。
ズルッ。
「…え?」
ルイズは、今自分の手のひらの感触に妙な違和感を覚えた。ハルナの豊満な胸を握っている自分の両手を見る。
…おかしい。本来女性の胸部の位置が…ハルナの腹の辺りまでずり落ちている。だが、胸部の感触はちゃんと手に残っている。だが、おかしすぎる。本来のハルナの豊満な胸の位置が、彼女の腹の辺りまで、ルイズの手に握られたままずり落ちている。
「い…」
「い?」
「いやああああああああああ!!!」
瞬間、状況を理解したハルナの悲鳴が劇場に響いた。
さすがにものすごい悲鳴だったので、支配人室の中のサイトたちにも聞こえてしまった。
「何があったの!?」
騒ぎを聞きつけ、サイトとウェザリーの二人も部屋のすぐ外に居たルイズたちの下へ来た。
「あ、あの…これは…」
既にそのとき、ハルナが床の上でサイトたちに背を向けた状態でうずくまっており、ルイズが一体何がどうなっているのか、訳が分からない状態でオロオロしている。
「ルイズ、お前ハルナに何か変なことでもしたのか?」
「べ、別に何も…」
「…うぅ…」
別に悪いことをしたわけじゃなかったのに、完全に現行犯を目撃された容疑者状態のルイズと、泣き出している被疑者のハルナ。
「やっぱルイズ、お前が悪いじゃん。何してんだよ」
流石にサイトも、知り合いに危害を加えられたのか表情に怒りが込められている。
…ひとつルイズの名誉のために言っておくが、決してハルナが泣くほどの嫌がらせを望んで実行したわけではない。不可抗力なので察してほしい。
「ち、違うわよ!別に悪気があったわけじゃないんだから!」
「もういいわ。三人とも、今日のところは宿に戻ってなさい。それまでに二人は仲直りしておい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ