雨夜-レイニーナイト-part2/悲劇の前夜
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は関係者以外立ち入りを禁じられている。情報を集める拠点として開放できるのは、本番当日からなのだ。
(よくよく考えたら、効率が悪くないか…?隙を見て、街で情報を集めた方がよかったか?)
ハルナの鞄を取り戻してあげたいという想いを優先させすぎて、ルイズをはじめとした貴族の仲間たちの意思を無視しすぎたのでは?そんなことを考え出した。
ふぅ、と息を吐き、ミシェルは腰に下げていたものを渡した。
「稽古はまだ続くのか?」
「はい。思ってた以上に疲れますけど…」
サイトはそういうが、何せ芝居だなんて不慣れなことをしたせいで疲れがたまりやすくあった。それを見かねたのか、ミシェルは一本の瓶をサイトに突き出した。
「それは?」
「疲労回復に効くポーションだ。これで疲れを癒すといい」
「え、いいんですか!?」
ミシェルがここまで気を使ってくるとは思いもしなかったサイトは驚きを露にする。前回の奇妙な上から目線のお礼といい、ミシェルはどうしたのだろう。
「なんだ、私からの餞別を受け取れないというのか?」
「そこまではいいませんけど…わかりました。ありがたくいただきます」
サイトは早速そのポーションの瓶を受け取り、ミシェルの前で飲み干した。
しかし、それは迂闊な行為だったとは思いもしなかった。
「んぐ…結構うまいですね」
いざ飲み干したサイトは、思いのほか美味だったポーションの味に満足そうだった。
「そうか、それならちゃんと選んできた甲斐があったというものだ」
「あれ…」
すると、サイトは自分の体がグラッと揺らぐのを感じた。視界がぼやけ、頭もなんだかボーっとする。
「慣れぬ活動で疲労が堪えたのだろう。今日のところは休んだらどうだ?」
「そうですね…ルイズたちからだらしがないって言われるだろうけど、今日は休もうかな?」
そう言った途端、サイトは完全に意識を手放し、その拍子に倒れてしまう。それを、床の上に落ちる前にミシェルが受け止め、傍らにあるマットの上にサイトを寝かした。
(…許してくれ)
たった一言、罪悪感を込めた言葉を送って、ミシェルは一度その場から去っていった。
サイトとゼロは、万階一致で一つの核心にたどり着いた。そう考えるのが妥当だとしか考えようがない。彼女が渡したポーションは、実際は疲労回復のものではなく、睡眠を促す強力な催眠薬だったのだ。
だが、いまだに信じられない自分がいる。一体なぜ……。
(まさか、ミシェルさんは…俺の正体を知っていた!?)
そうでなければおかしい。ウルトラゼロアイをわざわざ盗むはずがない。だが、正体を知った上で実行したというのなら、いつ、どこで俺のことを…?
そういえば確かあの時、自分と彼女は地下で瓦礫の下敷きになりかけた。その際ミシェルが意識を失い、最後の手段でサイトが変身し
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