雨夜-レイニーナイト-part2/悲劇の前夜
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用心しなければならないのだ。
「だめよ、あんたは私の使い魔だし、ハルナの面倒を見るって決めたのもあんたよ。男なら途中で投げ出さないで」
それを言われて、サイトはぐぅの根も出なくなった。確かにウルトラゼロアイは大事だが、だからといってこの二人をほっぽりというのも気が引けた。
『ゼロ、どうしよう…』
『…ったく、ここで断ったら断ったで後が面倒くさいしな』
『もちろん無視なんかしないさ。ただ、万が一怪獣とか星人が出たらどうすんだよ』
ゼロの言うとおり、ルイズの命令を無視すると後で面倒くさいことになるし、言っていることも間違っていない。親しい女の子だけにうろつかせるには、トリスタニアの街は少々物騒だ。でもだからといってサイトが言うように、こうしているうちに怪獣や星人、および黒いウルトラマンたちが現れたりしたら対処できない。
『一応、ここにはゴモラを操れるジュリオもいるが…なにぶん信用に欠ける奴だからな…。誰がゼロアイを奪ったのが誰なのか』
とりあえず、二人は自分たちの記憶を辿ってみる。いつまで自分たちがウルトラゼロアイを所持したままでいられたのか。
ゼロアイはいつでもあらゆる脅威に立ち向かえるように常備している。アイテムを使って変身するウルトラ戦士としては基本中の基本だ。だからこの劇場に来た時だって胸の内ポケットに、肌身離さず隠し持ってきていた。ならなぜ…?
いや、待てよ……。
…ま、まさか…
サイトは披露のあまり眠りに就く直前までの記憶を辿った。
「つまり、情報を集める名目を含めてこの劇場でしばらく芝居に付き合うことになったというわけか?」
「そういうことです…」
先刻、ミシェルと出くわしてから稽古の休憩になって、劇場を訪れたミシェルから事情を明かしたサイトは、全員を代表して彼女に事情を説明した。ここにはサイトとミシェルの二人しかいない。他の連中から離れた空き部屋だった。
「全くお前たちは…仕方のないやつらだ。鞄一つのために芝居を請け負うなど、何を考えている」
「す、すみません…でも、がむしゃらに黒いウルトラマンの情報を追って行っても尻尾はつかめないですし、奴も神出鬼没の存在ですから、ここはあえて一箇所に身をおくほうがいいって思ったんです」
「まぁ、それは確かに言えてるが…適当に自分たちの非を誤魔化してるわけではあるまいな?」
ジロッと、両腕を組んでサイトをいぶかしむように見るミシェルに、サイトは慌てて首を横に振った。
「そ、そんなわけないでしょう!?それより、どうしてミシェルさんがここに来たんです?」
「お前たちがサボっていないか様子を身に来たのだが…そもそも情報とやらは集まっているのか?」
「い、いやさすがにまだ練習期間ですし…」
まだこの劇場は当日の本番日まで日が開いている。それまではこの劇場
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