インデペンデンス
[10/22]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がクローンでも、オリジナルとは違う。ちゃんと別人としてこの世に存在しているよ!」
「クローンは元となった人物に限りなく近い別人……お前はそう解釈しているようだが、あの女や普通の連中は果たしてそう受け取ってくれると思っているのか?」
「う、受け取ってくれるよ! だって今の母さんは私をちゃんと見てくれている……娘として愛してくれてる! 普通の人達だって、今はまだ偏見の目を持ってるかもしれないけど、いつかは……!」
「ならば訊こう。クローンとオリジナル、どちらかが犠牲にならないといけない状況になったらどうなる?」
「え……っ!?」
「もう一度言ってやる。……お前とアリシア、片方が死ななければもう片方も死ぬ状況になったら、あの女はどう選択すると思うか言ってみな?」
ビーティーの発言を受けたフェイトは、全身が一気に冷えたような感覚と同時に硬直する。周囲にいる人間が優しいからこそ、少し考えればすぐに出てくるこの問題に気づけなかった……否、考えようとしなかったのだ。
かつて狂気に染まっていたプレシアだが、それも彼女の側面である事を本能的に忌避してしまっていた。今の彼女が太陽の面を向けているとすれば、当時は暗黒の面を向けていたと言える。フェイトにとっては、覚えていたと同時に忘れていた記憶だ。これまで気付けなかったのは、太陽少女としてヒトの心の太陽を信じる気持ちが強く、そのせいで心の暗黒面に疎くなってしまっていた影響である。
「先に言っておくが、両方救うという選択は無しだ。死の要因そのものは何でもいい。とにかくすぐ決めなくては時間切れとなる状況で、あの女は腹を裂いて生んだ娘より試験管で生んだ別人を選んでくれると言えるのか?」
「そ、そんなの……すぐには選べないよ……!」
「はい、両方死亡決定〜♪」
「な……!?」
「酷いか? だがこういう手をこまねいているだけで全てが終わる状況が現実に起こらないとも限らない。大体、本物と偽物を選ぶとなったら、普通に考えれば本物を取るものさ。なにせオリジナルは一人しかいないのに対し、クローンは作ろうと思えば何体でも作れる。俺達は女の胎を経てさえいない……何の痛みも無く生み出せるのだから、また作ればいいと簡単に思われてしまう。それが俺達クローンの……オリジナルの代用品として生まれた者の宿命だ」
「クローンの……宿命……」
「非ッ常ォ〜に気分悪いが、眼を剥くほど特別な能力や特色がない限り、クローンの命は優先されない。オリジナル以下の存在価値しか見出されない。だから俺は、俺達クローンの一人一人の存在価値がオリジナルより上である事を証明してやるのさ」
「そんな事、一体どうやって……? ……ッ! まさか、そのために母さんを!?」
「ちょいと曲解する羽目になるが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ