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リリなのinボクらの太陽サーガ
インデペンデンス
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…ごめんなさい。私はビーティーの境遇を味わった事が無いから、あなたがどれほど母さんを憎んでいるのか推し量れないと思う。……でも今の母さんは昔の過ちを認めて、ずっと後悔している。確かに昔は姉さんしか見てなくて、私も人形として扱われていた。多分、ビーティーはその時の母さんしか知らないから、思い出す度に憎しみが膨らんじゃうんだと思う。でもね、過ちはいつか正せる。人はいつでも変われるんだ。だから……ビーティー、お願いだから今の母さんと会ってくれないかな? 全てを受け入れられるようになった今の母さんとなら、もしかしたら仲直りできるかもしれない……」

「ハッ、言い返せなくなったら親に丸投げか。良い身分だな、完全体? 今更どんな言葉を聞いた所で俺は何も変わらん。この俺が、ぬるま湯に浸かったあの女の目を覚まさせてやる! 何が娘の蘇生だ! 何が家族との幸せだ! そんなもんは豚に食わせろ!」

「ッ!?」

「気に入らない奴はぶん殴る! これはあの女が教えた唯一の摂理だ! あの女は俺達が気に入らないから捨てた、なら俺はあの女が気に入らないからぶん殴ってやるのさ! あの女と会ったら、死んでいった同族に贖罪すらしない腐った根性をぶっ潰してやる!」

怒りのあまり、これまで溜め込んでいた鬱憤や恨みをぶちまけるビーティーにフェイトは圧倒されて身体が震える。“あの女”、即ち母親のプレシアを決して名前で呼ばない姿勢に、彼女の憎しみがどれだけ根深いものなのかを薄ら察し、フェイトは勢いに圧されて表情を歪める。

勝手な都合(ジュエルシード事件)で60億以上の人間が暮らす地球を壊しかけ、幸運が重なってオリジナルが蘇ったら何の躊躇もなく掌を返し、アンデッドとなった同族を見るまで試作クローンの事を黙っておきながら、裁判が終わっただけでこれまでの所業が勝手に許された気になり、それで何の気兼ねも無く暮らすなんて、わけのわからん根性をぶん殴ってやる!」

「ま、待って! 母さんはあなたにとっても母親だ。あなたも私と同じなんだから、ちゃんと話し合えばきっと分かり合えるはずだよ!」

「冗談じゃない! あんな奴、母親でもない! あの女は母親失格どころか人間失格だ、存在自体願い下げだ! 俺はクローンの垣根を超える、いつまでも存在の自由を奪われたままにはしない!」

「存在の自由? それって……」

「お前は“フェイト”という固有名詞をあの女から与えられた。俺は“ベアトリクス”という固有名詞を閣下に与えられた。だがお前も俺も、永遠に“アリシア・テスタロッサのクローン”という枠組みから逃れる事が出来ない。つまり俺達は、自らの証を100パーセント自分の物だと断言できない。オリジナルの影で構築された十字架で、存在の自由を磔にされているのさ」

「そ、そんな事は無い! 生まれ
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