インデペンデンス
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「一人じゃダメでも、二人でやれば次は通じるよ。ほら、たった一度の敗北ぐらいでくよくよしない!」
「あ、姉御……。……そうだな、次会った時に勝てば良いんだよな!」
「そうそう、元気っ娘のアギトに落ち込む顔は似合わないよ。……にしても防御魔法無しで50口径のデザートイーグルすら無傷で耐えるとは、あの男の身体には何らかのトリックがあるんだろうね」
「それも気になるけどさぁ…………あの男が二つの闇の書事件で糸を引いていたって事、姉御は大丈夫なのか?」
「……何が」
「何がって、そりゃあ当然……両親の事とか、故郷の事とか……」
「何を言うかと思えば、そんなの……」
一旦呼吸を置いたマキナは下を向いてギリッと歯を食いしばり、憤怒の形相を浮かべる。
「許せないに決まってるっての。あの男のせいで私やお父さん達、シャロンにアクーナの皆の運命が狂わされたのだから、あまりの怒りで身体が内側から焼け焦げそうだ……!」
「姉御……」
「でも……今回の件でよく理解した。怒りに憑りつかれた状態で戦ったら、本当の意味での勝利は得られなくなる。かつてカーミラさんを犠牲にしたサバタ様のように、負の感情に飲み込まれて自分を破滅させるだけになる。私は……“もう一つの報復心”と向き合わなきゃいけないんだ」
「もう一つの報復心か……。姉御の人生は苦難の連続だな、ホント」
「だけど諦めないよ。サバタ様が自分の信念を貫き通したように、私も怒りじゃなくて自分の意思で戦う。生涯憧れているあの人の姿を、命ある限り目指し続けてみせる」
マキナが握り拳を作って決意を固めたその時、コンコンと扉のノック音が響き、家主のリスべスが部屋に入ってきた。
「マキナさん、お身体の調子はどうですか?」
「おかげさまでこの通り。残ってる傷も弱い治癒魔法を併用すれば早めに塞がるから、見た目はこんなんだけどすぐに治るよ」
「それは良かったです。あの時の治療の恩返しもしてなかったので、この際どうぞゆっくりしていってくださいね」
「まさに情けは人の為ならず、か。ちなみに本来の意味で言ってるからね」
「姉御の友人を探して放浪してた旅が、こういう形で功を奏するなんてなぁ……面白い縁もあったもんだ」
そう言って彼女達はにこりと微笑みあう。なお、リスベスの言う治療とは、この紛争が起こる前……長年続いていた紛争の終戦間近の時期に、リスべスが突然の事故で大怪我を負った事があり、偶然通りがかったマキナが治癒魔法を使った事を言っている。以前なのはに伝えた“管理外世界で治癒魔法を使った怪我人”とは、実はリスべスだった訳である。
「ところでリスべス、同居人達は今何してる?」
「ロックは一階
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