第一話 運命の薔薇その四
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「それでだ」
「太子を次の様に」
「大事にしそして王としての資質を教えるのだ」
まさにというのだ。
「よいな」
「はい、承知しております」
「我等もそのことは」
「必ず太子を見事な王にします」
「王と同じだけの」
「頼む、そしてマリー達にもだ」
娘達についてもだ、王は話した。
「よいな」
「はい、それでは」
「お二人にもですね」
「学問を教える」
「これまで通り」
「そうせよ、二人共頭がいい」
王は自身の娘達についてもこう述べた。
「だからな」
「そうさせて頂きます」
「マリー様とマイラ様にも」
「その様に」
「そしてマリアにもだ」
ここでこの娘のこともだ、王は言った。
「あの娘にも教え続けるのだ」
「あの方にもですか」
「そうされますか」
「これからも」
「マリアは余の弟の子」
即ち姪になるというのだ、王にとって。
「太子達にとって従姉妹になる」
「それ故に」
「あの方にもですね」
「君主となるのにも相応しい教育を授ける」
「そうされるのですね」
「そうせよ、あの娘は清らかに過ぎるが」
しかしというのだ。
「弟がいてくれている」
「大公様が」
「あの方が」
「弟は頼りになる」
確かな言葉だった。
「政治も軍事もな」
「その双方においてですね」
「国家の柱となられる」
「そうした方ですね」
「余も随分と助けられている」
兄である王もというのだ。
「あの者がマリアの背中にいるからな」
「マリア様もですね」
「安心出来る」
「そうなのですね」
「しかもあの者は野心もない」
このこともだ、王は大公の長所としていた。
「王になろう、国を己のものにしようというな」
「はい、あの方は高潔な方です」
「国家のことは考えられてもご自身のことを考えることはありません」
「権勢や富貴のことを口にされたことはありません」
「それこそ一度も」
「だからだ、あの者ならばだ」
まさにというのだ。
「マリアの背にいてだ」
「そしてですね」
「国家も支えてくれる」
「そうされてくれますね」
「必ず」
「そうだ、太子も支えてくれる」
間違いなく、というのだ。
「そして国家もな」
「ではあの方をですか」
「太子の後見人とされますか」
「あの方が即位されたなら」
「そうしたい、余に何かあれば太子が王となるが」
しかしというのだ。
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