4話
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だこれ、僕が一体何をしたと言うんだ!?
ガクガクと震える両足。
やばい、逃げないと。こんな痴女に襲われたら最速で人生のK.O!! だ。
だが、疲れきった頭と体は思うように働いてくれない。
「初めましてだね月夜 鬼一くん。今日からキミの部屋に住むから、よろしくね」
痴女に挨拶されたがこっちはそれどころじゃないんだっ。
そうだっ、今は、ここを離れなきゃっ!
逃げ出すために走り出そうとするが、疲労と動揺で体が思うように動いてくれずそのまま倒れ込んでしまう。
ひょい、っと痴女の脇に抱えられる僕。
こんな華奢な身体にそんな力がどこにあるというのか。
そのまま何事もなかったように僕を鼻歌混じりに部屋の中まで連行する痴女。
いやだっ、いやだっ、まだやらなきゃいけないことがあるのに、だからっ。
思考がぐちゃぐちゃになり、視界が歪み横隔膜が震える。
焦った感覚だけが先走り、バタバタと手足を動かすが意味を成さず。
自分を救ってくれた厳しくも優しい世界から、理不尽渦巻く女性だけの世界に飛び込まされ。
朝からずっと好奇の視線や否定的な視線に晒され。
周りの誰にも頼れず、唯一の家族と言える姉や友達や仲間たち、ライバルたちももういない。
女尊男卑の醜さや愚かさを体感して。
自信を支えていた誇りを汚され、貶められて。
それでも負けられないという思いから自分に厳しくして。
自分では気づかず限界寸前まで疲労していた精神は、目の前の出来事を理解できず、耐え切れずに限界を超えてしまい―――
「……っひぐ、ぇ、うぇ……、ぅ、うぁああぁっ……!」
僕は泣いてしまった。
「え!? ちょ、ちょっと!? 大丈夫!?」
焦った声が聞こえたが、そんな声はもう僕の耳には届いてなかった。
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