暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
閑話―桂花―
[9/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
女だ。
 美しく長い金髪は腰まで伸ばされ、毛先がどこぞの覇王のようにカールしている。
 顔は端正で目はやや吊り目、自尊心の高さが容姿に現れている。
 胸は大きく自己主張しており、腰はしっかり括れている。
 まさに美を体現したような女性だ。どことなく袁紹に――……

「私のことより、桂花さんの事ですわ! 良いこと、彼女は相当な覚悟を持って訪れ、肌を晒したのです。その想いを無下にすることがあっては名族失格ですわ!」

「だが、この事態の解決には――」

「で・す・か・ら! このまま絵をお描きになって、彼女と添い遂げるのです。
 そうすれば桂花さんの尊厳も守られ、万事解決ですわ!」

「その心は?」

「勿論、それらしい提案に託けて、可愛らしい猫耳を愛でる事で――……」

「……」

「……」








「……」

 意識を現実に戻した袁紹は筆を走らせる。この間わずか一秒。
 脳内会議に現れた謎の美女の意見は可決、変更を入れ実行する事になった。
 
 このまま桂花を描き、完成まで後は一人で十分だと部屋へ帰す。
 これだけ聞けば袁紹らしからぬ決定かもしれない、恋の据え膳を喰らった彼ならば――
 
 ――よし、一先ず出来た。

 ややあってラフ画は完成。桂花に声をかけ様としたその時、袁紹の思考は止まり性欲が湧き上がった。

 今まで彼を冷静にさせて来たものの正体、それは使命感。
 桂花に恥をかかせまいとする心遣いが性欲を凌駕し、雄としての本能を抑え付けていた。
 しかし、ラフ画が完成して場を取り持つ理由が出来た途端、袁紹の中の使命感が欠如。
 素の状態で桂花の裸体を目にしてしまった。
 
 恥ずかしさからか顔を背けて寝台に座り、事前に持ってきていた布で恥部を隠している。
 上半身を晒した状態だが胸の辺りで布を握り締めており、その姿はさながらヴィーナス(女神)
 ラフ画に描かれた蠱惑な女性がそこに居た。

「……」

 理性の扉を御輿に乗った世紀末袁紹が叩いている。長居は危険だ。

「桂花、下書きが完成したぞ」

「見ても宜しいですか?」

「うむ、是非評価してくれ」

 モデルとしての役目を終えた桂花は、布で大事な部位を隠し袁紹の傍らに移動する。

 そして描かれた自身の姿を見て息を呑んだ。まず驚いたのはその完成度。
 今にでも動き出しそうな桂花が色っぽく月を眺めている。
 忠実に再現しすぎて胸部装甲が薄い点は不満だが、変に美化されるよりずっと良い。
 売りに出せば大陸中の金持ちが欲しがるだろう。袁紹と桂花にこの絵を表に出す気はさらさら無いが……。

「後は我一人で完成させられる故、今日はもう休むと良い」

「……やっぱり、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ