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恋姫†袁紹♂伝
閑話―桂花―
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みを浮かべながら桂花達に近づいていく。

 それを見た兵士達は再び蒼褪めた、恋でさえ武器を手にしていなかったというのに……。
 遊びや余興で命の危機など溜まったものではない。
 イエローも同じ考えなのか苦言を呈しているが、『峰打ちだから大丈夫だって!』というグリーンの言葉に矛先を納めた。

 因みに斬山刀に峰は無い。

「こっちも選手交代よ」

「ヘヘっ、誰が相手でも負ける気がしな―――」

 その言葉は対峙した相手を見て止まった。桂花と代わるように前に出たのは、何を隠そうグリーンの愛しい人、斗詩である。
 
「文ちゃん……」









「オラオラァッッ! 大人しくお縄を頂戴しやがれ!!」

 気が付いた時には反転。仮面を取っ払い、残った二人に剣先を向け投降を呼びかけていた。

『……』

「すまねぇ二人とも、アタイは常に斗詩の味方なんだ……」

 どこか哀愁を感じさせる響きだが、周りは観客を含め白い目を向けている。
 残念な事に猪々子は色々鈍いので、意に返さないが。

「な、何はともあれ後二人よ。勝ったも同然だわ!」

 ――ここまでか

 不利を悟ったブルーの肩に手が置かれる。

「いえろー?」

「悲観するなブルー。まだ我が残っている」

「……あ」

 何かを言おうとした彼女を背に前に出る。腕を組みながら桂花達と対峙するその背は大きく、頼もしく――……。
 




「ついに貴方様が……」

「はて、誰のことやら。我は華蝶イエローだ、それ以上でも以下でも――」

「あ、袁紹様だ! お母さん袁紹様が居るよ!!」

「……」

「……」

 盲点、溢れ出る名族オーラは隠し切れない!

 イエローが作り上げた雰囲気は無垢な言葉を前に四散。
 しかし彼はめげなかった。
 
「カモン! omikoY!」

 イエローの言葉と共に金色の御輿が人ごみを飛び越えてやって来た。

「お、おみこしっくす?」

「違う! omikoYだ!」

 細かい発音の違いを指摘され顔を顰める桂花。大体、今までの御輿と何が違うのか。
 その場に居た全員の胸中が重なった所で、いつの間にか御輿の上に移動していたイエローが声を張り上げた。

「これは長年の努力と改良を重ね先日完成した……。
 耐久性と操作性を維持して軽量化に成功した、御輿の最終進化系である!
 そして一度我が乗れば最後、万の兵でも触れることは敵わぬだろう。
 フフフ、ハハハ、フハハのハーーッッ!!」

 余程自信があるのだろう。いつもは豪快な彼の笑い声が今日は妙に鼻に付く。
 
 あの態度だ。もはや人知の及ばない性能を持っているかもしれない。

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