閑話―桂花―
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《袁紹》!」
一人ひとりが自分の持ち味を含めて名乗りを上げる。約一名間違っているが……。
そして四人が言い終わると同時に、影がもう一つ宙を舞う。
影は空中で器用に回転しながら四人の前に降り立ち、瞬時に手に持っていた槍を構え直した。
「英雄豪傑、華蝶ぶるー、又の名を華蝶仮面――此処に見・参!!」
「五人揃って――」
『五蝶仮面!!』
ババーン、と密集しポージングをとる。次の瞬間、割れんばかりの歓声が見物客から響いた。
何故かおひねりまで飛んでいる。
「ぐりーん! ぽーじんぐを乱すな!!」
「いけねっ、つい、いやぁ最近金欠でさぁ……」
「十分給金を与えていると言うのに、我は情けなく思うぞグリーン」
やりとりを見ていた桂花は眩暈に襲われる。袁紹だけでも厄介だと言うのに今日は五人。
後の始末や残った仕事を考えると、長居は出来ないというのに――……。
華蝶仮面が悪を懲らしめるたび、仕事を取られた警邏隊の肩身が狭くなる。
それを危惧して何度も苦言を呈したが、飄々と避けられ効果が無かった。故に彼女の活動は事実上黙認されている。
“黙認”しているが認めたわけではない。その厄介者が五人に増えている。
桂花にとっては正に悪夢だ。
「け、桂花さん。どうしましょう……」
「正面からでは駄目ね。搦め手で行くわよ」
気を取り直して変質者集団に近づいていく、兵も連れているが彼らの出番は無いだろう。
「む、れっど!」
桂花の只ならぬ気配を察知して、ブルーがレッドに先鋒を託す。
唐突な最強の投入に兵士達は目に見えて動揺している。袁家の兵で彼女の実力を知らない者など居ない。鍛練と称して、精鋭千人に地面の味を覚えさせていた光景は記憶に新しく、彼女が近づいてくるにつれ血の気が引いていった。
「恋、いえ今はれっどかしら? 大人しく従ってくれたら来来亭でご馳走するわ」
「!?」
桂花の提案にレッドは歩みを止める。来来亭とは南皮でも有数の高級料亭だ。
味が絶品であることは勿論だが、それに比例するように高額な料金が特徴的だ。
レッドはめったに訪れない。最終的に質より量を優先するからだ。
そんな料亭の料理をご馳走すると言っている、桂花に限ってレッドの食欲を甘く見ることなど無いだろう。間違いなく彼女の胃袋を想定した提案、即ち―――あの高級料理が食べ放題なのだ!
「……」
しかしレッドは―――背後にいるイエローをチラリと見た後、首を横に振った。
その反応に彼女を知る者達が目を見開く。
特にブラックの狼狽ぶりが酷い。レッドのおでこに触り熱を測ったり、拾い食いでもしたのかと問いただしている。そして最後に
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