閑話―桂花―
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袁家の頭脳と呼ばれる才女が居る。彼女の名は荀ケ、真名を桂花。
袁紹に忠誠を誓ってから数年、南皮でその才能を遺憾なく発揮してきた。
財政、人事、戦。袁紹の信頼も厚く王佐の才とまで称される彼女は、政務のみならず様々な方面で活躍している。
そんな袁家に欠かせない人材である彼女は―――現在、街中を疾走していた。
理由は語るまでも無い。いつものである。桂花は主の暴走を止められる限られた人材なのだ。
「あそこを右に曲がれば現場です!」
迷族の下まで斗詩と共に向かっている。常識人な彼女は頼れる味方だ。
桂花が来る以前は斗詩が袁紹を止めていたらしいが、その殆どは失敗に終わっている。
押しに弱い彼女は、事あるごとに言いくるめられていたらしい。
――やっぱり私がしっかりしないと、特に今回は!
今日の案件は一味違う。何と、猪々子や星達も一緒に騒いでいるというのだ!
本来なら諌めるべき立場の者達が便乗している。何でも暴漢を相手取って大立ち回りしているらしいのだが――……。嫌な予感が止まらない。
「こ、これは!?」
現場に着いた桂花達はその光景に絶句した。
袁紹らしき人物と見知った者達、そこを沢山の見物人達が囲み――……。
足元には十数名の男達が倒れ伏している。
聞いた話によると、この倒れている男達は他所から流れてきた無法者らしい。
住民に絡んでいるところに袁紹“達”が出くわし、懲らしめた。
一件問題は無いように感じる。寧ろ住民を守ったことを褒めるべきかもしれない。
しかし彼は袁家の当主だ、本来なら荒事は警邏隊か護衛の者達に任せるべきであり。
護られるべき本人が前に出るなど言語道断である。
「ちょっと! これは一体何事ですか!!」
いつになく目くじらを立て、足早に近づいていく桂花。
その対象は袁紹だけではない、彼の近くに居る見覚えのある者達にも向けられている。
桂花と同じく家臣として仕える身、自分と同じく主を諌めなければならない立場。
常日頃から彼女達の家臣としての意識の低さには不満がある。丁度良い機会だ。ここでその性根を正してやろう。
桂花が声を張り上げようとしたその時―――彼女の声は振り返った袁紹らしき人物と、謎の口上に遮られた。
「何事かと問われたならば――」
「――教えてやるのも吝かじゃないぜ!」
言い終わるのと同時に別の影が躍り出る。どれも見覚えのある身格好だ。
何故か色違いの仮面をしているが……。
「神算鬼謀、華蝶ぶらっくです!」
「……豪力無双、華蝶れっど」
「猪突猛進、華蝶ぐりーんだぜぃ!」
「威風堂々、華蝶|イエロー
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