第百九話
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『わたしの歌を聞けぇー! ――なんちゃって』
そんな言葉とともに開催されたセブンのVRライブは、常時熱狂とともに浮遊城を震わせた。あまり現実のライブに詳しいわけではないが、VR空間だからこそ出来る演出――それこそALOならではの翼を使ったアクションなどは、盛り上がる一因となっていた。
先日、シャムロックと敵対関係となってしまった故に、ライブに顔を出しにくかったものの。他ならぬセブンから『絶対に来い』と言われてしまえば、せっかく貰ったチケットからいかない訳にもいかず。
元々がセブンのファンらしいルクスを先頭に、キリトにアスナ、俺にリズとテッチ――そして無理に笑顔を作っているような、ユウキに。先日の第二十二層をシャムロックとともに攻略し、チケットを貰ったメンバーで楽しませて貰った。……むしろ楽しませてあげたかった、というべきか。
「いっやー、ルクスじゃないけど、ライブってのは盛り上がるわね!」
「リ、リズ……」
VRライブという試みは成功に終わり、夜半に設定された浮遊城。シャムロックの一団はこのままフロアボスの攻略に赴くようだが、流石にそれに同行する訳にはいかない俺たちは、夜の街で感想を言い合いながら歩いていた。特にルクスのはしゃぎようは、いつもの様子からは想像も難しく。
「ユウキはこういうライブ、初めてだって言ってたよな。どうだった?」
「あ……うん! 凄かったね!」
そこでふと、アスナの隣を歩く彼女の姿を見た。ライブでも人一倍盛り上がっていたユウキだったが、どこか空元気のようで見ていて痛ましく――先日のレインとセブンの件をまだ引きずっているようで、他のメンバーにはその二人と敵対する立場になって残念だ、とごまかしていたが。
その当事者としていた俺には、あの歪んだ関係の姉妹を何とかしてやりたいと……しかし、何も出来ないと歯噛みしている。さりとて、知らぬ顔をしていられる訳もなく、胸を痛めている。そんなユウキの思いが痛ましい程に伝わってきた。
――俺も、そうなのだから。
「……ねぇ、ショウキくん」
「アスナ?」
リズやルクス、テッチにキリトが主に騒いでいる最中、自然とアスナがこちらに近づいてきていた。集団から離れて二人で話すような状態となり、アスナは真剣そのものな表情を見せていて。
「ユウキのことなんだけど……様子が変よね?」
セブンちゃんやレインちゃんのことを差し引いても――とアスナの言葉は続く。悩んでいるのはその二人のことに違いはないが、表向きのシャムロックと争うこととなって残念、という理由とは違うことを、どうやらアスナは見抜いているらしく。表情を苦々しげに変えるこちらを、アスナは立ち止まってじっくりと見据えて。
「教えて。ショウキくん、何か
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