第百九話
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の野郎……」
副長、と呼ばれたトンファー持ちに仲間から嘲笑が寄せられるが、再び日本刀《銀ノ月》を鞘に収める俺と、トンファー持ちの言葉が場の認識を改める。トンファー持ちが攻撃を避けたため、フードが少し切り裂かれてしまったのではなく。
「近づいた奴から、その自慢のフードたたっ斬ってやる。特別に代金はなしで」
最初からこちらの狙いは、その顔を隠したフードだということを。小規模かつ頭が回るPK集団が最も恐れることは、自分たちの顔が広まってしまうことだ。故に目深に被ることで顔を隠せるフードは、ある意味必須とも言っていい装備だという。
俺は柄に手をかけた抜刀術の構えで待機し、フード付きの妖精が来るのをただ待った。日本刀《銀ノ月》の射程圏に入れば、直ちに近づいてきたフードを斬り裂くと――簡単に突破する術はいくらでもあるだろうが、先程の高速の斬撃と実際に切り裂かれたフードを見て、フード付き妖精たちはいずれも二の足を踏む。
それは言わば、《剣の結界》とも言うべき形であり。このまま睨み合いが続いてくれるのならば、ルクスの麻痺毒が解除されるか、ユイが俺たちの戦闘状態を探知してくれるか――そのどちらかで俺たちの戦闘は終わるが、もちろんそう簡単にいく筈もなく。
「っ!」
何処からか飛来したクナイを、足に仕込んだ足刀《半月》で防ぎ――リズがいるとはいえ、背後に動けないルクスがいる以上、ただ避ける訳にはいかない――この隙に来るか、と警戒した俺の視界をマントのようなものが塞いだ。
「じゃあ、しっかり斬ってもらおうかしら」
……女の、声。
空中に翻ったマント――奴らが着ているフードと同じものを斬り裂くと、死角から迫り来る忍刀に反応する。胴体狙いの刺突だったソレを、柄から離した右手で――正確には、右腕に装備されたガントレットが防ぐ。
金属音が響き、リズ特製のガントレットは忍刀の刺突を防ぎきる。そのまま反射的に蹴りを繰り出したものの、その忍刀の持ち主――『彼女』は既に射程外へ離脱していた。
「あら残念。せっかくあのダサいフード斬ってもらったのに、お礼も出来ないなんて」
自らのフードを囮に死角からの一撃を放ってきたプレイヤーは、いかにも残念そうに自身の得物たる忍刀を振ってみせた。自分が着ている和服に近いのだろうが、かなり肌色面積が多く見えるようにアレンジされていて、ガーターベルトが覗く足にはクナイが装備されている。くの一という呼称が最も正しいような、金色のツインテールの少女だった。
「気をつけてショウキ! そいつ、その連中のリーダーよ!」
「ええ、その通り。それと、そこにいる彼女とは、前の世界では親友でもあったの。……ねぇ、ルクス」
先にリズとリーファがPK集団と戦闘になった際に、
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