第百九話
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りつけられた勢いを利用して宙返りし、上空から襲いかかってきたフード付きと目があった。振り上げた腕にはカギ爪が仕込まれており、そのフードから覗く瞳には驚愕の色が浮かんでいた。
それでも対人戦には慣れているのか、すぐさまカギ爪を前面に押し出して、こちらの攻撃をガードしようとし――宙返りそのままの勢いで放った俺の蹴りが、がら空きの頭部に炸裂する。オーバーヘッドキックの要領で放たれた一撃は、頭部に当たったこともあり、なかなかに衝撃は与えられたらしい。
そして衝撃に頭が朦朧とするフード付きの胸ぐらを掴み、仕返しとばかりに大地に叩きつけようと、地上から襲いかからんとしてくる敵に向かって蹴りつける。ついでにフードから露出した翼を切り裂き、まさしく人間大の質量兵器として射出されていく。
「だらっしゃぁぁぁぁ!」
そのフード付きの質量兵器で足止めをしている間に、少し離れた場所からリズの雄々しい叫び声が聞こえてくると、反射的にそちらへと飛翔する。そこにはルクスを見張っていた二体のフード付きを、勢いそのまま吹き飛ばしたリズの姿を確認した後、空中からクナイを投擲しルクスを捕縛している網を切り裂いた。
「ルクス!」
「リズ……」
網から解き放たれはしたものの、どうやら軽い麻痺毒を与えられたルクスに肩を貸して、リズはすぐさまそこから離脱する。このまま飛び去って逃げたいところだが、どう考えても途中で追いつかれてしまうだろう。ひとまず俺とリズは合流し、PK集団と睨み合うような布陣となるように着地する。
「解毒ポーション。飲んどきなさい、ルクス。ショウキも」
「ああ」
ひとまずPK集団を全員正面に捉えたことで、手練れに囲まれているという危機からは脱すると、リズから渡された解毒ポーションを飲み干す。既にかかっているルクスは回復に時間がかかるが、まだ健常なリズと俺はこれで麻痺毒への耐性が付与された。そしてどちらも機を伺うような一瞬の後。
動いたのは同時だった。俺はルクスを抱えたリズを守るように前へ、PK集団は号令もなしにこちらへ一斉に襲いかかる。回り込むように距離を取りながら接近するものを横目に、俺を抑えようと動いている、これ見よかしにトンファーを見せびらかすフード付きと対峙する。こちらの剣戟をあの鋼鉄の坤で受け止めよう、という魂胆のようだが。
――白銀の刃はトンファーの防御よりも早く、既にフード付きの妖精の首にまで迫っていた。
「!?」
驚愕とともにトンファー持ちは動きを止めると、ギリギリ日本刀《銀ノ月》の射程外で停止する。首を落とされることは避けたものの、その顔を隠したフードが大きく切り裂かれ、慌てて顔を隠しながら後退する。
「気張れよ副長殿ぉ、顔バレしちまうぜ?」
「違う! こ
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