第百九話
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たルクスが、いつの間にか消えている。そんな事態にリズは何を感じ取ったのか、近くのプレイヤーショップの店番に話を聞きにいった。
「どうしたの?」
「……ルクスがいなくなったんだ」
そんな騒ぎが気になったのか、少し離れていたユウキたちも駆け寄ってくる。リズが店番の妖精に話を聞いている間に、メニューを操作してルクスがまだこの世界にいるか確認すると、メール画面は正常な色のまま――つまり、ルクスはまだこの世界にいるにもかかわらず、突如として消えたことになる。
「メールが来ていたなら、何か他に用事が出来たんじゃ?」
「ルクスはそんなことしないよ! 絶対ボクたちに何か言うって!」
「……ユイ」
「ダメですパパ。私の索敵範囲に、既にルクスさんの姿はありません。かなり離れたか、もしくは……」
……《隠蔽》スキルを使っているか、という言葉の先は言わずとも分かる。キリトのポケットからひょっこりと顔を出したユイだったが、ルクスの姿はその二つの理由で見つけられないらしく。どことなく不穏な雰囲気が伝わる中、リズが店番の妖精から話を聞いて戻ってきた。
「どうだった?」
「メッセージを開けたら血相変えて飛び去っていったって。……みんなごめん。ルクスを手分けして探すの、手伝ってくれない?」
「もちろんだよ! ……なんか、嫌な予感がする」
リズの問いかけに真っ先にユウキが頷いた後、他のメンバーも三々五々同調していく。店番の妖精はどちらに飛んでいったかまでは分からないらしく、まるで手がかりがない以上、とにかく手分けしてバラバラに探す他ない。とりあえずルクスにメールはしておくものの、もちろん返答が来ることはなく。
「見つかったらメールで連絡して! それじゃ!」
キリトにアスナとユイ、ユウキにテッチ、俺とリズ――自然と二人組以上の組み合わせは決まり、バラバラの方向に浮遊城の夜を飛翔していく。それぞれが胸のうちに嫌な予感を抱えながら、俺とリズは迷いなく《圏外》――街の近くのフィールドへと向かっていく。それもモンスターの出現率が低い場所に。
「この前PK集団に襲われた時……ルクスを知ってるような、そんな口振りだったの。もしかしたら……」
《圏外》でありながらモンスターの出ない場所――つまり、プレイヤーキラーにとっては理想の場所だ。その時あったことを明確に思い出そうとしているリズの言葉に従い、俺たちは最も近いそのフィールドに向かう。レプラコーン特有の赤銅色の翼が、俺たちの嫌な予感からの焦りに呼応するかのように速度を増し――
「ルクス!」
――森の中の開けた広間。月の光に照らされて、ネットで捕縛されて大地に付したルクスと、それを取り囲むフード姿のプレイヤーたち。そのフード姿は、リズか
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