3話
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るのか? あんたは国の顔なんだぞ? そんなあんたが見苦しい真似をする度にクラスメイト達はイギリスの評価を下げることに気づいていないのか?
そして女性に喧嘩を売られた一夏さんはその言葉で再度スイッチが入ったのか、
「おう。いいぜ。四の五のいうより分かりやすい」
完全に売り言葉に買い言葉の状態だった。
僕が口を挟む余地はなくなり2人はヒートアップする。
「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い―――いえ、奴隷にしますわよ」
「侮るなよ。真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」
「そう? なんにせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」
「ハンデはどのくらいつける?」
「あら、早速お願いかしら?」
「いや、俺がどのくらいハンデつければいいのかなーと」
僕はそこで顔を右手で覆い隠す。クラスからは大きな笑いが響いた。
一夏さん、それは完全に舐めすぎ。いくらなんでも言い過ぎ。あんた、真剣勝負の意味を本気で理解しているのか?
「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話しだよ?」
「織斑くんと月夜くんは、確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」
その言葉に気勢を削がれた一夏さんは前言を撤回する。
「……じゃあ、ハンデはいい」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデをつけなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね」
オルコットさん、あんたも言い過ぎだそれは。
そもそも勝負の場にハンデをつけるつけないという話しなんて存在しない。
それは、相手を貶める行為だ。
それは、自分を誇れない行為だ。
先ほどの怒りは収まったのか、オルコットさんは明らかな嘲笑をその顔に浮かべていた。
「ねー、織斑くん。今からでも遅くないよ? セシリアに言って、ハンデ付けてもらったら?」
一夏さんの斜め後ろの女生徒が気さくに話しかけていた。しかしその表情は苦笑と失笑の混じったもの。
「男が一度言い出したことを覆せるか。ハンデはなくていい」
「えー? それは代表候補生を舐めすぎだよ。それとも知らないの?」
お前たちは勝負を舐めすぎだ。あの場所はそんな軽いものじゃない。
自信に満ちた表情のオルコットさんはそのやりとりを見ていたが、そこで初めて僕に気づき声をかけてきた。
「あなたも頭を下げればそこのお猿さんと同じように、特別にわたくしが相手をして上げても構いませんわよ?」
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