3話
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極端な考えだとは思うが、IS学園に通う生徒は将来大量殺戮者になる可能性が存在し、IS学園はそれを生み出す道具だと思っている。スポーツに収まり続けるならそうではないだろうが。
自分がそんなモノに成り下がる可能性があると考えただけでも吐き気がする。
果たしてその可能性を一体どれだけの人間が気づいているのだろうか? 一歩間違えたら大量殺戮者の汚名を背負わされかねないほどの力を持たされて、僕ならこんな偉そうに出来ない。
偉そうにするのは構わないが、時として力はただの理不尽な暴力に成り下がる。
それを気づかない人間というのはここまで醜く見えるのだろうか?
出来ることならこれ以上関わりたくない。
「悪いな。俺、君が誰か知らないし」
その言葉に少し納得してしまう。
国家代表なら国を問わず色んな媒体で姿を見せることが多いので見たことある、というのは多いだろうが、その下の代表候補生まで知っている人というのは意外と少ない。
一夏さんの答えによほど納得がいかなかったのか、オルコットさんは目を細めて今よりも更に見下したような表情で声を出そうとするが、
「一夏さん、彼女はイギリス代表候補生で入試主席のセシリア・オルコットさんですよ」
いちいち見下したような話し方で話されるのはごめんなので、オルコットさんより早く一夏さんに誰だか教えてあげる。
へー、と、いまいち理解していないような声を出す一夏さん。
まぁ、ISのことをあまり知らない人ならピンとこないだろう。僕だってつい最近まで知らなかった。
オルコットさんは僕に先に話されたからか、一瞬不快そうな表情を見せたが知っている人間がいたことが嬉しかったのか、笑みを浮かべながら頷いている。
「あ、質問いいか?」
「ふん。下々の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」
どんな質問をするんだろう?
この時、僕は予想の斜め上をぶっちぎる答えを聞いた。
「代表候補生って、何?」
「……ぷっ」
そんな予想外の質問と、質問を聞いた瞬間のオルコットさんの顔とクラスメイトを見た僕は思わず噴き出していた。もしここに人がいなかったら声をあげて笑っていたかもしれない。
僕の反応を見た一夏さんはのんきに「なんだよ鬼一、笑うことはないだろ」なんて言った。
それに対して僕は「ごめんなさい、そういう意味で笑ったわけじゃありません」と返す。
周りのクラスメイトたちはこけていたり、唖然とした表情だった。
オルコットさんに至っては形容し難い表情だ。
それらを見た瞬間、笑いを堪えきれなかった。
「あ、あ、あ……」
オルコットさんも予想外すぎる質問を受けてうまく言葉を出せないみたいだ。
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