第十一話 嵐の中でその八
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「結局ね」
「そう思うと本当に小さいお話なんだね」
「そうなるわね」
「知らないから色々言ったり否定する」
「人間は本当に小さいわね」
「全くだね」
優花も姉の言葉に頷き人間の一面にも気付いた、小さくそして知らないことには徹底した否定であたる一面を。
「嫌な話だね」
「それでもそれもね」
「人間なんだね」
「人間は小さい、そして卑しくて醜い面もね」
「あるんだね」
「そう、けれど小さいことも」
「そのことも自覚したら」
優花はこのことにも気付いた。
「そこからまた変われるね」
「小さいことも知る」
「知らないものを否定することも」
「それも弱いってことよ」
優子も言う。
「そうなるわね、やっぱり人間は弱いのよ」
「そして弱いことを自覚すれば」
「そこから変われるのよ」
「そうだね」
優花はこの日も姉と話しそのうえで彼がどうするかを決めた、そしてだった。
そのうえでだ、次の日だった。
龍馬にだ、学校で言った。
「今日の放課後一緒に帰りたいけれど」
「いつも一緒だろ」
「今日もね」90
こう言うのだった。
「そうしたいんだ」
「ああ、わかった」
龍馬は優花のその言葉に頷いた。
「それじゃあな」
「一緒に帰ろうね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「御前今日はいい顔してるな」
優花のその顔を見ての言葉だ。
「昨日よりも明るいな」
「そうした顔になってるんだ、僕」
「ああ、やっぱり明るくないとな」
「駄目だっていうんだね」
「暗く沈んだばかりだとな」
「どうしてもだね」
「人間よくないからな」
それで、というのだ。
「明るさを戻していかないとか」
「それで今の僕は」
「そうした顔になってるな」
「明るさが戻ってきている」
「いい顔になった」
昨日よりもというのだ。
「決めたんだな」
「うん、そうなんだ」
「それならな」
その話を聞いてだ、龍馬も頷いた。そして。
その話をしてだった、龍馬は優花に言った。
「今日の帰り気をつけような」
「うん、お空がね」
窓の外を見ればだ、そこは。
真っ暗になっていた、黒く厚い雲が空を覆っている。優花もその空を見て言った。
「今にも降りそうだしね」
「午後からはな」
「もう降るよね」
「今降ってもおかしくないな」
「天気予報は午後からだね」
「降るって言ってるけれどな」
「今降っても不思議じゃないよ」
空の状況を見ればだ。
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