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真田十勇士
巻ノ四十三 幸村の義その三

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「おお殿」
「お久しゅうございます」
「いやいや、ほんの少し茶室の中にいただけでな」
 笑ってだ、幸村は彼等に応えて言った。
「久しくはないぞ」
「それはそうですが」
「我等常に共にいますので」
「だからです」
「隣の部屋にいれば」
「そう思ってしまいます」
 どうしてもというのだった。
「それで、です」
「我等はです」
「こう言ってしまいました」
「久しいとです」
「そうであるか」
 そう言われてだった、幸村も納得した。そして。
 大谷は主従を見てだ、微笑んで言ったのだった。
「強いですな」
「我等の絆は」
「はい、何よりもです」
 まさにというのだ。
「強いですな」
「大谷殿から見て」
「義兄弟でもですな」
「はい、あります」 
 こう答えた、幸村も。
「我等は」
「主従であると共に」
「友であり」
「義兄弟です」
 その通りというのだった、彼等も。
「ですから」
「我等の絆は絶対です」
「死ぬ時は共にです」
「そう誓い合っておりまする」
「見事」
 彼等の言葉を聞いてだ、大谷は感銘の言葉で応えた。
「それもまた義」
「ではこの義をですな」
「我等は貫き」
「そうして生きるべきですな」 
「如何にも」
 その通りという返事だった。
「是非そうされよ」
「では」
「是非共です」
「そうさせて頂きます」
「殿と常に共におります」
「その様に。真田殿はよき義兄弟をお持ちじゃ」
 幸村にも言うのだった。
「そのことも忘れずにです」
「義をですな」
「貫かれよ」
「さすれば」
 幸村も頷く、そうした話をしてだった。
 大谷は幸村主従の前から姿を消した、そして場には主従だけとなってだった。幸村は十勇士達に話した。
「かなり有意義な話であった」
「はい、その様ですな」
「殿のお顔を見ますと」
「実にです」
「よいお話でしたな」
「そうであった、若しかすると」
 こうも言う幸村だった。
「拙者はまたかけがえのない方と会ったのかもな」
「直江殿や石田殿と同じく」
「そして関白様と共に」
「あの大谷殿もですか」
「殿にとってそうした方ですか」
「そうも思った」
 大谷と会い茶室でも話してというのだ。
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