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レインボークラウン
第三百三十二話

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             第三百三十二話  実際に見たら
 六時に葵が帰って来た、玄関が開く音と共に只今という声がしてわかった。
 赤音は魔法の勉強として参考書を開いていたが姉の声を聞いてだった、すぐにジップとハリーに言った。
「お姉ちゃんよ」
「ええ、それじゃあ」
「今からね」
「降りるわよ」
 玄関のある一階にというのだ。
「いいわよ」
「そして会いに行く」
「そうするのね」
「そう、今からね」
「それじゃあ」
「そうしましょう」
 ジップとハリーはここでも顔を見合わせて話した、そして。
 そのうえでだ、二匹は主の右肩と左肩にそれぞれ乗ってだった。赤音は二匹を乗せたままで席から立ち上がって。
 部屋を出て一階への階段を降りてだ、丁度靴を脱いで玄関にあがったところの姉に対して声をかけた。
「お姉ちゃんお帰り」
「あっ、赤音ちゃん」
「今帰って来たの?」
「ええ、部活が終わってね」 
 姉は妹に笑顔で応えた、そして。
 その笑顔を見てだ、ジップとハリーは主の顔を挟んで話した。
「何かね」
「そうよね」
「実際にね」
「前よりもね」
「笑顔が明るくて」
「奇麗になってるわね」
 こう話した、そして。
 赤音もだ、姉の顔を見て笑顔で言った。
「お姉ちゃん奇麗になってない?前より」
「そんなこと言っても何も出ないわよ」
「本当のこと言っただけよ」
「またまた。そんなこと言って」
 今度は優しい笑顔になる葵だった、しかし。 
 その後でだ、葵は赤音に紅茶を淹れて二人で飲んだ。その後で。 
 赤音は部屋に戻ってだ、二匹にあらためて言った。
「私の言った通りでしょ」
「はい、何か」
「そうなってるわね」
「ご主人の言う通りに」
「奇麗になったら」
「そうでしょ、どうしてそうなったのかしらね」
 赤音は首を傾げさせて姉がそうなった原因についても考えた。
「気になるわね」
「そこでそう言うの?」
「原因について」
 二匹は主の言葉に何かおかしなものを感じた、そして実際にこれが赤音の新しい物語になるのだった。


第三百三十二話   完


                      2016・4・9
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