第十二幕その十一
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近畿に入り遂にでした。
神戸に着いてです、皆は言いました。
「やっとだね」
「神戸まで着いたね」
「長かった旅だったけれど」
「懐かしの我が家」
「もうすぐ帰られるね」
「北海道は楽しかったけれど」
先生も目を細くさせて言います。
「それでもね」
「そうだよね、やっぱりね」
「お家が一番だね」
「僕の今のお家がね」
「何といってもね」
「うん、では戻ろう」
こう笑顔で皆に言ってでした、先生達は。
懐かしの我が家に入りました、そうしてくつろいだ日常に戻りました。
先生がお家に帰って数日後サラが今回もご主人のお仕事で日本に来てでした。先生のお家にも来たのですが。
先生が差し出した贈りものの一つを見てです、眉を顰めさせて言いました。
「これだけくれるのは嬉しいけれど」
「どうしたのかな」
「あの、全部いただくけれど」
それでもというのです。
「一つだけどうかっていうのがあるわね」
「どうかっていうと?」
「これよ」
その贈りものである木彫りの熊を手に取って先生に見せるのでした。
「これはね」
「駄目かな」
「レディーへのプレゼントじゃないわよ」
こう言うのでした。
「とてもね」
「ほら、言ったじゃない」
「これはどうかって」
「だからね」
「これは駄目だって」
「女の子に贈るものじゃないって」
動物の皆もこう先生に言います。
「本当にね」
「先生こうしたセンスないから」
「それ子供とかにはいいよ」
「大人の人にもね」
つまり普通の人に贈ることはいいというのです。
「けれどレディーにはだよ」
「贈るものじゃないんだよ」
「サラさんにもどうかって言ったよね」
「ましてや日笠さんにはだよ」
「絶対にって言ったのに」
「言ってもわからないから」
「聞かないじゃなくてね」
先生は誰のお話でも聞きます、ですからそこは違います。
「わからないから」
「これもって言って買ってね」
「サラさんにも贈って」
「日笠さんにもだから」
「日笠さんは喜んでくれたよ」
この人には先生ご自身がお渡ししました、動物園まで行って。
「凄くね」
「まあ日笠さんはね」
「先生が贈ってくれるものならね」
「喜んでくれたんだね」
「じゃあそのことはいいけれど」
「それでもだよ」
「センスがね」
それはというのです。
「ないよ」
「本当にね」
「どうかって思うから」
「よくないよ」
「ちょっと待って」
最近サラも動物の皆の話がわかる様になってきているのでそれで首を傾げさせながらあらためて先生に言いました。
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