2話
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は家族といえる人がいないから。
「望む望まざるにかかわらず、人は集団の中で生きなくてはならない。それすら放棄するなら、まず人であることを辞めるものだな」
多分、それは織斑先生なりの1つの励ましではなかったのかと思う。
「え、えっと、織斑くん。わからないところは授業が終わってから放課後教えてあげますから、がんばって? ね? ねっ?」
山田先生が一夏さんの両手をぐっと握って詰め寄ってくる。一夏さんより身長が低いせいか必然的に上目遣いになっていた。
「はい。それじゃあ、また放課後によろしくお願いします」
そのまま席につく一夏さん。
「ほ、放課後……放課後にふたりきりの教師と生徒……。あっ! だ、ダメですよ、織斑くん。先生、強引にされると弱いんですから……それに私、男の人は初めてで……」
いきなり頬を赤らめてそんなことを言い出した山田先生。この人、さっきのこともそうだが本当に教師として大丈夫なんだろうか?
話しでは聞いていたがIS操縦者は男に免疫がないというのは、あながち間違ったものではないみたいだ。
山田先生は国の代表候補生だったからなおさらなのかもしれない。
「で、でも、織斑先生の弟だったら……」
「あー、んんっ! 山田先生、授業の続きを」
自分の世界に入ったままの山田先生を、織斑先生の咳払いで強引に引き戻す。
はっ、と意識を覚ました山田先生はバタバタと教壇に戻って、そのままこけた。
「うー、いたたた……」
そんな情けない大人の姿を見て、周りに気づかれないように僕はため息を吐き授業に再度集中した。
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