2話
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「ほとんど全部わかりません」
なんとなく予想していた答え。
自分の立場を理解していないからこそ、そんな無責任な発言が出てくる。
僕たちはそれを許される立場では本来ない。
いや、一夏さんはある意味では僕よりも、か。
でも素直に自身の無知さを曝け出したのは悪いことではない。
教育の場であればそれは認められるのだから。
「え……。ぜ、全部、ですか……?」
山田先生の顔が目にみえてひきつる。
気持ちはわからなくもないが、その表情は生徒の前で見せる教育者の顔ではないと思う。
……なんか、気持ち悪い。
「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」
先生、その表情で質問を投げかけるのは非常に良くない。
その表情は明らかに、わからない人なんているわけない、って言っているのと同じだ。
もしわからない人が他にいたなら、その表情の意味に気づき何も言えなくなるだろう。
そこで山田先生は僕にも質問を投げてきた。
「月夜くんは、ここまではわかりますか?」
なぜ、そこで僕に振ってきたんだ。
僕も男性だからか?
同じ男性だからわからないと思われたんだろうか?
ふざけるな。
「問題ありません。渡された教科書の内容は頭に入れてあります」
一瞬、胸に湧いてきたイラつきが言葉に乗りそうだったが自制する。
「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」
教室の隅に立っていた織斑先生が問いかける。
「古い電話帳と間違えて捨てました」
……ギャグか?
なんて馬鹿なことを一瞬考えてしまっていた、その時。
バァンッ!
凄まじい一撃が一夏さんの頭に炸裂する。
織斑先生は手に持っていた出席簿を叩きつけていた。
「必読と書いてあっただろうが馬鹿者。あとで再発行してやるから1週間以内に覚えろ。いいな」
「い、いや、1週間であの分厚さはちょっと……」
「やれと言っている」
「……はい。やります」
強い視線で一夏さんを制する織斑先生。
一夏さん、流石にいくらなんでもそれはどうかと思う。
このISという兵器を扱って何か起きてからでは遅いのに。
「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった兵器を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解ができなくても覚えろ。
そして守れ。規則とはそういうものだ。……貴様、自分は望んでここにいるわけではないと思っているな?」
最後の方の言葉がなんで出てきたのか分からないが、多分一夏さんの表情から何かを感じ取ったのだろう。
家族ならではの理解だろうか。ちょっと羨ましい。自分に
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