第三部
名誉と誇り
にじゅうなな
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、彼ら傭兵団は『餓狼傭兵団――通称、餓狼団――』と言い、200名という大規模を誇る国内外でも有名な腕利きの傭兵団とのことだ。
もちろん団長はあのガルドで、“鉄槌”のガルドと、まんまの字を持っている。
規律を重んじ、仁義に厚い男であり腕も確か。なので王国は彼ら傭兵団を重宝し、王国に属する傭兵団の中でも例外的に待遇が良いらしい。
今回は50名ほどの派遣ではあるが、彼ら『餓狼団』のほぼ本隊とのことだ。
ヴァルクムントとの由縁を聞いてみれば、エリステインもそれはよく知らないらしい。だが、ヴァルクムントについては、色々と聞けた。
ヴァルクムントの遠い祖先に巨人がおり、彼自身かなり色濃く先祖の血を引いているとのことだ。所謂、先祖還りというやつで、もう200歳を超えていると言われたときには、何故か妙に納得してしまった。
更に、ヴァルクムントは国家間の戦争を経験している、数少ない歴史の証人でもある。その際の逸話はいまも伝説となっており、今後も語り継がれて行くことになるだろう。とは、目を輝かせて自分のことのように語りだしたエリステインの言だ。
「まさに生ける伝説です!」と、声高らかに宣う、恋煩いの少女のような顔で言う嫁ぎ遅れの言葉に、私は何故かシーラカンスを思い浮かべてしまった。
違う。あれは生きた化石だ。
また、先々代国王の頃からこの国に仕えているということもあり、その発言力は決して無視することはできず、国の中核に食い込んでいることから、かなりの立場以上の権力を有してもいた。
とは言っても、彼が国政に口出しをするようなことはほとんどなく、基本は己の鍛練や、受け持っている騎士隊の教導に当たっていることが多いと言われた。
そのヴァルクムントだが、当然先遣隊には含まれておらず、本陣から少々離れた場所で第2騎士隊が陣を構えており、そこにいるようだ。
まあ、あの巨大な地竜がいるのだから、内側に陣を張るのは物理的に無理があるだろう。
さて、早々に出発した先遣隊はガルド率いる『餓狼団』と、少数の王国兵で構成された混戦部隊の約70名は、数日前に訪れた冒険者達の足取りを追って進んでいる。
ああも武装した人間が大量に闊歩しているのだから、獣や魔物は警戒し、襲われることもなくズンズンと奥へと進んでいく。
その様子を、私とエリステインはブリッジの立体映像から観察していた。
ただ森の中を歩き続ける、厳めしくむさ苦しい男達をずっと見続けるのは、正直何かの拷問かと思ってしまう。
「よぉし、てめぇら! ここいらで一息つこうじゃねぇか!」
歩き続けて2時間強。ガルドの号令で先遣隊の足が止まる。
大事ないのは喜ぶべきことだが、人の集中力にも限界がある。
彼らもその道
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