第三部
名誉と誇り
にじゅうなな
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すか。いったい、何のためにそんなことをしているのでしょうか」
「……さて、な」
思い浮かぶことならいくつかある。
まず、成人の儀式を執り行う環境を整えるための下準備によるものだ。
その協力を取り付けるために、この地の個人もしくは国や部族などの集団に対して、我々の技術を取引の材料として用いている可能性が一つ。
もしくは、私と同じように不測の事態により、現地民の協力が不可欠となっている場合であり、同じく取引材料、あるいは私のように友好な関係を築けたことによって譲渡した可能性が二つ目。
三つ目として上げるのは、既に同族は存在せず、技術か道具が持ち去られたパターンであり、これが一番厄介である。
最悪、ある程度の複製が可能になっているとすれば、目も当てられない。
この星の科学技術力を考えると、段階を一つ二つ抜かしたような爆発的な向上は望めないとは思う。が、何分魔法などという摩訶不思議な技術体型が存在している現状、それを考えると何が起こるか分からない、という漠然的ではあるが不気味なのは確かだ。
まだ私たちの技術を模範し、上手くいってその延長線上、もしくは完成形の過程の物であれば気持ち的には楽だが、そこから副次的に新しいものが発生してしまったとなると、これは色々と問題を抱えることになる。
私に責任はないので、すぱっと割り切れれば楽なのであるが、現実問題、この星を離れるのがいつになるかも分からない。どころか目処すら立っていない。
そうすると私の精神衛生上、無視を決め込むということは少々難しい。
というか、罪悪感が半端ない。
国家間の戦争、宗教戦争、クーデター、テロと、起こりうる事態を挙げればそれこそキリがない。
どれだけ我々種族の科学技術が、兵器にそのモチベーションを割いているのかが分かるというものだ。
兎に角、いまエリステインを必要以上に不安がらせることもないだろう。
私の考えていることが杞憂であって欲しいとの想いも含め、まだ黙っていることにする。
「なんにせよ、同族の相手は私がする。貴様が心配するようなことはない」
「やっぱり、戦われるんですか?」
「その必要があれば、そうなる。元々そういった気質のある種族だ。貴様が気にする必要はない」
愕然としながらも、彼女は納得するしかない。
私がそうさせるのだが。
「それに、まだ同族がいるとも限らない。鈍器は鈍器らしくしていろ」
「鈍器じゃないです!」
本当、鈍器としての自覚が足りないと思う。
―
討伐隊に動きがあったのは翌日のことであった。
先遣隊として派兵されたのは、昨日、声高々に吠えていたガルド含む傭兵部隊である。
エリステインに聞いたところ
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