自分の流儀を貫いて
10:真実とは何が何で何なのか?
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
するだけの余裕はあった。海に落ちたとしても、病化特性もあるし、死にはしないだろうが、とても痛いだろう。例えば、着水による全身強打。
どうやら、“ディバイドゼロ・エクリプス”の効果は、かなりのものらしい。段々と意識が薄れてきた。眼前には近づく海面。気を失ったら、溺死するかも。
(でも、死なないんだろうなぁ)
薄れゆく意識のなかで見たものは、俺の周りに蒼十字の書のページが舞っている様子。それはまるで、天使の羽の様……。
こんな話をしたことがある。
「将来の夢? 何だ、唐突に……」
あの開墾地にいた頃の2日目、昼食後。腹一杯になった俺はイスに座って休憩していた。4人用のテーブルに、イスを4つ。マリは向かいの席に。俺のとなりはアルさんだったりする。
「だから、ダレンは何になりたいのかなぁって。私達くらいの年頃だとみんな、悩んでるからさ〜」
確かに17歳というのは高校卒業後の進路などを決めなければならない時期かもしれない。でも、それはこの世界でも同じなのか?
「でもなぁ、俺は記憶の方を……」
ここでは俺は、記憶喪失ということになっている。真実は俺しか知らないし、下手にしゃべったら何かバレそうだ。それに、“特典”のこともある。今は、そういうことを考えられなかった。
「あ……そっか……ごめん、ダレン……」
「いや、そこで謝らなくてもいいんだけど……」
俺が嘘をついている分、謝られてしまうと罪悪感がハンパない。それに、空気を悪くしたくない。マリには暗い顔なんてして欲しくないし……。
「いや、あれだ、マリはどうなんだ? 将来の夢。言い出しっぺなんだから、ちゃんとあるんだろ?」
雰囲気が暗くなる前に話を進めてしまおう。俺のことを話題から逸らすんだ。
「え〜私はね〜」
マリが両の人指し指をつんつんし始めた。照れている。良かった、雰囲気は暗くならなかった。
「なんだよ。恥ずかしがらずに言ってみろよ」
相も変わらず、人差し指つんつん。少し、可愛い。だが、言いたいことははっきりと言って欲しい。たぶん笑わないから。
「えっとね、お父さんとお母さん達みたいな家族を作ることかなぁ〜」
「あー、ラブラブだもんなぁ」
マリが憧れるのもわかる気がする。いつまで経っても、仲良しこよし。良い両親だろう。だから、マリがこんなに良い子に育ったのか、と思わなくもない。
「お母さん達に言わないでね、ダレン。すっごく恥ずかしいから」
「いや、バレていると思う」
あの2人はマリのことなら何でもお見通しだと思う。特にサーシャさんはとてもとても。あの人、絶対マリの反応楽しんでるよね。
そして、台所からニコニコこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ