暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十四話 出征前
[1/4]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
■ 帝国暦487年2月25日 オーディン 宇宙艦隊司令部 ベルンハルト・フォン・シュナイダー
メルカッツ提督が宇宙艦隊への配属を命じられた。本来ならメルカッツ提督こそが宇宙艦隊副司令長官、いや司令長官になって良いはずだ。それを傘下の一艦隊司令官になれとは……どうにも納得がいかない。
メルカッツ提督は何も仰らないが嬉しい人事だとは思っていないだろう。ここ数年、戦いの場にも行く事も無く、辺境警備に従事する毎日だった。ようやく中央に戻る事が出来たと思ったら自分の息子よりも歳若い司令長官、副司令長官に使われる身に成るのだ。
宇宙艦隊司令部に行くとローエングラム伯は訓練中だと言うので副司令長官へ着任の挨拶を行なう事になった。私はヴァレンシュタイン大将とは面識が無い。私がメルカッツ閣下の副官になったのは閣下がアルレスハイムの会戦で勝利を収め大将に昇進した後だ。
副司令長官がメルカッツ閣下の配下だったのはアルレスハイムの会戦までの短い期間だった。閣下にとっては印象深い部下だったようだ。時折私に話してくれることがある、変わった男だったと。その男が今副司令長官になっている。
副司令長官室に入って驚いたのは、部屋がやたらと広い事だった。おそらく二部屋ぶち抜きで使っているのだろう。大勢の女性下士官(三十名ほどいるだろう)が机を並べ書類を、ディスプレイを見ている。
引切り無しにかかってくるTV電話音と受け答えする女性下士官。書類をめくる音と忙しそうに歩く女性下士官。華やかさと喧騒が入り混じった祭りのような雰囲気の部屋だ。メルカッツ提督も驚いて見ている。
副司令長官は私達の姿に気付くと執務机から立ち上がり近づいてきた。私達の驚きに気がついたのだろう、苦笑しながら “この方が便利なので部屋の仕切りを取り外しました” と話してきた。
女性達がいる場所とは反対側の部屋には会議室と応接室を今用意しているそうだ。改装が終わり次第、出入りが出来るようにドアをつけることになっているらしい。
唖然としていた私たちに副司令長官は温かみのある声をかけてきた。
「ようこそ、メルカッツ提督。心から歓迎します」
「これは失礼しました。宇宙艦隊への配属を命じられました。ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ大将です」
「副官のベルンハルト・フォン・シュナイダー大尉です」
メルカッツ提督も私も慌てて挨拶をした。そんな私たちに副司令長官は柔らかく微笑むと傍に有ったソファーに座る様に勧めた。私は遠慮して立っていようとすると私にも座るようにと勧めた。
「メルカッツ提督、ご無沙汰しております」
「遅くなりましたが、副司令長官への就任、おめでとうございます」
「有難うございます。今回はメルカッツ提督にも御迷惑をおかけします」
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ