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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十四話 出征前
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属されるのはアスターテ会戦の後、ラインハルトが元帥に叙任された後だ。大体三月を過ぎたあたりだろう。今の時期は統帥本部の情報処理課に居た。

俺はイゼルローン要塞の陥落さえ防げばオーベルシュタインは問題無いと考えていたんだが甘かった。オーベルシュタインは原作でもラインハルトを高く評価していた。イゼルローン陥落後にラインハルトを頼ったのは苦し紛れじゃない。いずれローエングラム元帥府へ行くつもりだったんだろう。それが早まったと言う事だ。

自分からラインハルトに売り込んだらしい。どんな話をしたのか判らんが、気をつけなければいけない。あいつの場合、敵を倒す事より味方を陥れる事に熱中しかねない。

しかし、分艦隊司令官が少し弱すぎる。大丈夫かね、敵前回頭して撃沈されるような奴選んで。敵が出てくるとすれば今度は第五、第十、第十二艦隊あたりが出てくる可能性が高いだろう。同盟でも最精鋭部隊だ。

どんな形になるかは判らないが、原作のアスターテのようには上手くいかないと思う。せめてルックナー、リンテレン、ルーディッゲ中将を分艦隊司令官にしてくれれば安心できたんだが……。

さすがに見かねて、ミッターマイヤー、ロイエンタールを分艦隊司令官として連れて行けと言ったんだが、意地になってるんだろう。“必要無い”の一点張りだった。俺に気遣われるのが鬱陶しいらしい。

不利な状況で勝てれば、より実力を証明できるとでも思っているのかもしれない。判ってないよな。お前のために言ってんじゃない、兵が可哀相だから言ってるんだ。今更なんだが、最初から編制に関わるべきだったかもしれない、一個艦隊での出兵など認めるべきじゃなかった。ついアスターテが頭にあって同意してしまった。失敗だった。ここまで酷くなるとは思わなかった。

こうなったら訓練を名目に三個艦隊ほど動かして後を追わせるしかないだろう。 怒るかもしれんが、勝っているなら戦果拡大をはかれるし、負けているなら、盛り返せるだろう……。何か第八次イゼルローン要塞攻防戦に近い感じだな、嫌な流れだ……。


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